自民、成長戦略へ7項目提案 法人税下げは税率明記せず、期待しぼむ?
[東京 20日 ロイター] - 自民党の日本経済再生本部(高市早苗本部長)は20日、安倍晋三政権が6月に策定する成長戦略への提言となる「日本再生ビジョン」案をまとめた。
焦点の法人税改革について「成長志向の課税体系を構築」するとの表現にとどめ、民間委員らが主張する20%台への引き下げ目標は明記を避けた。公的年金130兆円を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)でも運用見直しの具体的な内容には言及していない。
同再生本部は同日、党政務調査会との合同会議に同案を提示した。ロイターが入手した資料によると、同案は、1)企業の国際競争力向上、2)豊かさを充実させる公的資金改革、3)外国人活用を促す雇用対策、4)日本再生のための金融改革、5)起業を促す体制整備、6)女性の活躍支援、7)地域活性化対策――が柱。細部を調整のうえ週内に政府側に伝え、6月の成長戦略に反映させたい考えだ。
国際的に高いとされる日本の法人実効税率に関しては「新たな投資や雇用、事業展開の決断を促すためにも時期や目標について一定の予見性を確保すべき」と指摘した。また、2020年度に基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字にする政府目標達成の必要性を強調。税率引き下げと同時に、その財源を穴埋めするため「課税ベースを拡大しつつ税率を引き下げる構造的な改革を行う」と明記し、財政再建との両立に配慮を示した。
ただ、同案では具体的な税率の明記が見送られており、「成長戦略策定の前哨戦との位置づけにかかわらず、早くも尻すぼみの感が否めない」(政府関係者)との声が出ている。
金融市場からの期待が高まっているGPIF改革では、国債に偏った現在の運用を見直すべきとする有識者提言を踏まえ、運用の見直しと同時にリスク管理を含む統治体制を整備するよう要請。「法改正の必要性を含めた検討を加え、その取り組みの加速を要請する」と明記し、運用委員会に常駐する複数の専門家を配置し、実質的に資金運用の手法を決められる体制作りを求めている。
しかし、GPIF改革の運用内容をどう改善すべきか、具体的な提言は盛り込んでおらず、「内容としては踏み込み不足。市場の先行期待がしぼみかねない」(別の関係者)との指摘もある。
(吉川裕子、和田崇彦、江本恵美、山口貴也 編集:北松克朗)
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