自分の評価を極端に気にする人が心を病む理屈 不安が高じて孤立すればますます行き詰まる

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例えばその例として、ここでは精神的なトラブルに悩む人々が問題を共有するために設立された、「エクスペリエンス・プロジェクト」というウェブサイトからの事例が紹介されている。

パーティなどで、私は人と気楽に雑談することができず、いつも気まずい思いをしています。他人からあれこれと品定めされ、よそよそしい態度をとられるのが怖くて、会話についていくことができないからです。人の笑い声を聞くと、すぐに私のことをバカにしているのではないかと思ってしまいます(愚かなことですが)でも、どうしてもそのように感じてしまうのです。そんなことが長く続いているうちに、私は独りぼっちの生活に慣れっこになったのです……。
すべての人から逃れたいと思うことが時々あります。誰かが私のことをあれこれ噂していると考えただけで、むしずが走るのです。
ウォルマートのレジで支払いをすることさえ、パニックに襲われます。会計は誰とも話す必要もない自動精算機で済ませることにしています。
私は誰に対しても極端な恥ずかしがり屋です。日常生活にも大きな支障をきたすようになって、人は私のことを自業自得だと思っているようです。私には友達が一人もいません。どこかに外出することもありません。買い物に出かけるときは必ずサングラスか帽子を身につけるようにしています。社交不安から身を守るお守りです。私は口ごもりがひどくて、大変な汗かきです。そして、他人の目には私が一種の変人であるかのように映っているのだろうと感じることがあります! 毎日がこのような状況で、生き地獄です。(22〜23ページより)

社交不安に悩む人が30年で2%→12%へ

いずれも苦痛の大きさや、普通の生活を送ることの困難さが伝わってくる文章である。やはり高度の不安を抱える人の多くは、自分が心の病を患っていると感じているようだ。事実、通常の臆病とは異なる社交不安の広がりについて綿密な調査が進められた結果、アメリカでは過去30年に社交不安に悩む人が総人口の2%から12%へ増加したという。

しかし彼らが特別なわけではなく、程度の差こそあれ、似たようなことを感じた経験がある人は意外に多いような気もする。

心の病の発生率が増加していることは、年齢の異なるグループを比較すればわかるそうだ。過去を振り返った調査では、年間当たりの心の病の発生率は、若年層が中高年を上回っているというのだ(ちなみにこれは、中高年の記憶力が衰えているからではないことが証明されている)。

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