健康に生きるため「3つの時計」を意識せよ

『健やかに老いるための時間老年学』の著者に聞く

撮影:今井康一

人の老いは“生体リズムの老い”によってもたらされることがわかってきたという。病を予防し、健やかな長寿を得るための「生体リズムを整える方法」とは。

 ──生体内の時計が生体リズムや寿命を支配しているのですか。

いかに健康に生きるか。三つの時計が大いにかかわっている。人体の中にある体内時計、腹時計、こころの時計だ。それらに、健康長寿のためのコツが隠れている。

──体内時計?

体内時計(生体時計)は、朝が来ると目が覚め、夜が来ると眠くなる、時間が来るとお腹がすいて規則的な食事を取る、というような、当たり前に過ごしている生活のリズム。学問的にいえば、概日リズムだ。人においては、体内時計は脳の視床下部にある。中に時計遺伝子があって時を刻んでいる。たとえば海外に行ったりすると、時差ボケになる。不眠になったり、時に寒けを感じたり、下痢になったり、あるいは仕事の能率が落ちたりする。体内時計が狂って生活の質が落ちるのだ。

時計遺伝子を一つでも取り出すと体内時計は時を刻まなくなるが、それだけではなくて、高血圧や糖尿病、あるいはがんといったさまざまな病気をもたらす。それをまとめてノンクロックファンクションといっている。時を刻むということで見つかった遺伝子だが、実際には寿命や老化をも調節していることがわかってきた。

地球上の全生命で見ても、時を刻む仕組みを持たない生命はない。進化の過程で時を刻む仕組みを身に付け損ねた生命は、地球上から消えていっているのだ。

──腹時計とは。

これはお腹がすいたことを知らせる時計だ。体内時計だけで、淘汰から逃れられるかというと、必ずしもそうではない。今のような飽食の時代は珍しく、餌があるときにとにかく食べるという能力を身に付けておかなければ、人間も生き延びられない。だから、腹時計が体内時計と同じぐらい必要だった。人体から空腸を取ると腹時計も体内時計も壊れてしまう。腹時計は脳にも関係するとの想定で多くの学者が所在を探しているが、今のところ見つかっていない。だから、腹時計は空腸にだけあるのかもしれない。

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