ゼンショーが抱く、あまりにも壮大な夢 ゼンショー・小川社長が語る経営哲学(1)

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会津藩が取り潰しにあって、弘前に移封されたわけですよ。そのときに生き残った柴五郎の、最初の冬は布団もなかったそうです、炭俵に包まって、たぶ んマイナス10度とかね。弘前の冬をなんとか生きながらえて、それから伝手を頼って、東京に出て、陸軍幼年学校に入ったんですよ。日本史っていうのはそう いう風に見ると、面白いですよね。

何が面白いかっていうと、柴五郎が陸軍幼年学校に入ったときに、校長がフランス人なんですよ。後に帝国陸軍がロシア化していくわけですから、最初は フランスモデルなんですよ。これも面白いですよね。地理の時間だというと、フランスの地図、歴史の時間だというと、もちろんフランスの歴史。それしか知ら ない教官が教えてるんだから。

という教育を受けてきて、後に長州閥の帝国陸軍になって、素晴らしかったんでしょうね、台湾軍総司令官陸軍大将にまで上って、という人なんですけどね。

その中で有名なのが、北京の80日、というのがあって、これもすごいですよ。東洋経済も取り上げた方がいいですよ。歴史書が出ていて、実に克明な記 録が残っているんですよね。紫禁城の中に日本大使館もあり、帝国大使館もあり、8カ国の軍隊が駐留して、当時実質植民地だったから、中国は列強の。

このことも大事ですよね。日本だけが悪いことをやったわけじゃない。実はフランスも英国もみんなさ、植民地化して軍隊を送り込んで、義和団の乱、そ して攻撃されたと。紫禁城を囲んで、国民党の軍も、当時は国民党じゃないか。ピンチに陥ったんだけど、最初は英国大使館の公使が指揮を執ったんだけど、ど うもうまくいかない、危ねえと。

戦いぶりを見ていたら、日本軍が最も優秀だと、そのとき指揮を執っていたのが柴五郎。当時中佐か大佐かな。それで、8カ国の軍隊の指揮を執って、英国をしっかり支えて、見事に切り抜けて、守ったわけですよ。それが後の日英同盟に直結してるわけですよ。

じゃないと、不思議じゃなかったですか、あの大英帝国が。今の米国より力あったわけですよね。ここで、日本人というのは大変なものだということを、 英国側が腑に落ちたわけですよ。こいつらと結ぶということは、いいことだという判断に結びついたわけですよ。時の英国大使が強く本国でも。そして日英同盟 になったわけですよ。脇道ですけども。

牛丼とは米国におけるハンバーガー

――ゼンショー創業のところまで話にたどり着きたいので。小川さんの経営の原点と言うのは、やっぱり吉野家と考えていいんですか。

原点は自分の思いですよ。

――もちろんそうですが。プロセスとして吉野家はあったという感じ。2年後に吉野家は倒産するわけですね。大株主の新橋商事が乗り込んできてと、吉野家の再建において。あの辺りで小川さんはどういう。

僕は当時経営が傾いてきたとき、たまたま人事部にいて、経理部にいて。経理部の次長になったんですよ、31歳。経理部長がマエダさんというんだけ ど、兄貴が吉野家のフランチャイズをやっていて、物件探しにすぐ外に行っちゃうんですよ。だからどうしても僕が、銀行との交渉の前線に立たざるを得ない。 たくさんいませんからね。やっていたわけですよね。やはり、銀行は雨が降ると傘を取るというのを、モロにそれを前線で経験しましたよね。

そういう中で、当時、吉野家は200店を超えていたんですけども、銀行からはもう200店は飽和じゃないですかと、もう業態のライフサイクルとして 下りになってきたんじゃないですかと、ガンガン言ってくるようになったんですよ。それに対して、わが方も防戦しなければいけないから、1年くらい前から僕 は米国も見ていたんですよ。外食産業とか、スーパーマーケットとか見て勉強していたので。だからそうじゃないですよと。外食産業というのは、日本でまだ産 業化が始まったばかりでしょと。

戦後そうでしょ、電機だって機械だって、流通のダイエーであり、みんな米国の5年から10年後を追っかけてやってきたし、そうなっているじゃないですかと。マネしたとはいわないけど、そういうモデルをやって成功してきただろうと。

外食ではまだ、当時向こうはハンバーガーのマクドナルドが1万店とか、確かに向こうの人口は2億4000万で、こちらは1億ちょっとで倍くらいある けど、だけど200店で飽和とかそういう段階じゃないでしょと。一つは日米比較であり、ということで、論陣を張ってやってきたわけですよね。

特に牛丼については、これはアメリカ人が一番展開しているハンバーガーの日本版ですよと。2000年コメを食ってきた国民の中で、コメというでんぷ んのうえに、人類の開発した最高の肉である牛肉を、最高の調味料である醤油で煮て、ポンと乗っけるというシンプルなストラクチャーが牛丼であって。パンと いうでんぷんに牛肉をパクっと挟んだシンプルな商品がハンバーガーであって。向こうでそういうシンプルな商品がある。

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