では具体的にどのような症状が頭痛と関連するのでしょうか。頭痛が起こると致命的な病気が脳裏をよぎりますが、頭痛は一次性頭痛と二次性頭痛に分けられ、命に危険がある頭痛は二次性頭痛に分類されます。二次性頭痛は、くも膜下出血や緑内障などの疾患がある際に二次的に起こる頭痛という意味で、くも膜下出血であれば「バットで後頭部を殴られたような人生最大の痛み・ろれつが回らない」、緑内障であれば「強い吐き気や眼の痛み」といった強い随伴症状が出ることが特徴です。
このように今までにない痛みや症状があれば救急受診を検討する必要がありますが、こうした症状もなく、以前と同様の頭痛であれば過度に心配する必要はありません。どうしても心配な場合は救急相談センター(#7119)に相談するのもよいでしょう。
片頭痛の対処方法と予防
一方、片頭痛や緊張型頭痛といったいわゆる日常的な頭痛は一次性頭痛に分類されます。命に危険がなくとも、これらの頭痛は家事や仕事のパフォーマンスを下げるつらい頭痛であり、多くの人が悩まされている疾患の1つでもあります。
片頭痛についてはメカニズムが未解明ではあるものの、頭の中に分布している三叉神経という感覚をつかさどる神経が、その周囲の炎症によって刺激されることで痛みを引き起こしているとされています。
月1~2回の頻度でこめかみから側頭部にかけてズキズキと脈打つような痛みが特徴で、光・音への過敏やチカチカする光(閃輝暗点)が見えるといった前兆発作がある人もいます。
原因はストレスや疲労、食生活(低血糖、飲酒)などさまざまであり、低気圧による頭痛(天候や気圧の変化によるもの)もこのタイプです。また、ストレスや心理的葛藤から解放された瞬間にも起こりやすいため週末頭痛、という別名もあります。
対処法としては発作時の治療と予防の2つがあり、発作時には暗く静かな場所で安静にすることが有効です。トリプタン製剤や鎮痛薬も効果的ですが、月10回以上使ってしまうような薬の乱用はむしろ頭痛を招く(薬物乱用頭痛)ため、医師と相談しながら適切に内服することが重要です。
また、発作時つまり炎症が起こっているときは「その周囲の血管が拡張している」という特徴があるため、血管を収縮させるような方法、つまり頭部を冷やすことが有効です。後述の緊張型頭痛では筋肉をほぐす目的で頭部や首を温める方法が有効ですが、片頭痛では血管の拡張をさらに起こしてしまうため逆効果であることに注意が必要です。
予防は抗てんかん薬などさまざまな薬が有効ですが、日常的に気を付ける点としては、生活習慣の改善やストレス要因からの回避のほか、疲労感・生あくび・光や音への過敏などの前駆症状に気づいたらできるだけ静かな場所に移って座る、横になるなど早めに安静にすることが効果的です。
緊張型頭痛は締めつけられるような持続性の頭痛が数十分~数日間続くことが特徴であり、中年以降の世代に多いとされていますが、在宅勤務などの影響で若い世代にも増えている疾患です。
原因は身体的原因・精神的原因の2つに大きく分けられ、前者は長時間のテレビ視聴やパソコン使用によって頭や肩の筋肉が緊張し、血流が滞ることで乳酸などの疲労物質がたまり、これが神経を刺激して頭痛につながると考えられています。また精神的な原因としては、緊張した状態が長時間続くとそのストレスが痛みを引き起こすとされています。痛みそのものがストレスになることでさらに頭痛が起こる悪循環に陥ってしまう人もいます。
こうした頭痛を軽快させるには、凝り固まった筋肉をほぐし、血流を改善させることが重要です。首や後頭部の筋肉をストレッチで伸ばすほか、入浴や適度な飲酒、運動によって症状を改善できます。長時間のうつむき姿勢や眼精疲労も緊張型頭痛の原因となるため、在宅勤務中の姿勢などを見直すことも予防の1つとなります。
頭痛は一見ありふれた症状ですが、その分類はさまざまであり、頭痛のタイプに応じた症状や治療法を押さえておく必要があります。外来で医師に自身の症状を正しく伝え、素早く症状を改善させるためにも、頭が痛くなったときはしっかりと記録をとっておくことをおすすめします。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら