インドで政権交代、日本への影響は? 地滑り的圧勝でインド人民党が10年ぶり政権復帰
労働法改正でGDPが1.2%成長
――日系企業にとって期待できる点は。
労働法の改正です。外資全体がこれに着目しています。ゴールドマン・サックスが3月に出したリポートによれば、「(時代遅れの)労働法を徹底的に改正すれば、10年間で雇用が1億1000万人増え、GDP成長率を平均1.2%押し上げる」となっています。
今の法律は労働者を守るように見えて、結局は雇用の硬直化を招き経営リスクに大きな影響を与えています。一部の不良労働者の暴走行為によって他の多くの善良な労働者までもが損害を受けてきました。
そもそも「何メートル間隔でたんを吐くツボを置かなければならない」など、どうでもいい法律が多いわけです。これらを刷新できれば、日系企業もインドビジネスがしやすくなります。ただ、当然のことながら全国規模の労働組合の激しい抵抗が予想されます。強い安定政権が、これらとどう対峙して、難しい舵取りをどう行うかに注目です。
――日系企業にとって、リスクは。
経済面では、最も注目されているのは小売業の外資開放政策をどうするかです。これはリスクとして挙げられています。BJPはこれまで最大野党として小売りの外資開放に反対してきました。モディ氏はグジャラート州では外資誘致に積極的でしたが、それにもかかわらず小売業の外資開放については断固反対だったわけです。これに対して懸念の声もありますが、同氏は「政府には連続性が重要だ」ということを選挙期間中に言っており、「政権を握った後に、すでに決まっている小売の外資開放を撤回するようなことはしない」というサインだとみられています。これに関して私は楽観しています。
――進出した日系企業の駐在員にとってリスクはありますか。
中道右派政権が右に寄りすぎると、よくありません。今回の選挙で、民族奉仕団(RSS)というBJP支持母体のヒンドゥー右派に勢いがついていますが、元気になりすぎて、ナショナリズムが強くなると、それがまた何かの紛争の火種になる可能性があります。
モディ氏は人気もありますが、敵もそれなりに多いです。機に乗じて反対派、あるいはテロリストが出てくるかもしれません。そういう意味で、「コミュナル暴動(宗教に端を発した暴動)」「(国家間、あるいは特定組織による)テロ」などが増加するおそれはあります。長年の因縁がありますので、隣国パキスタンとの関係、国内のムスリムとの関係がいちばん懸念されるところではないでしょうか。これらが杞憂に終わることを願うばかりです。
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