ユニコーンへ邁進!「建設DXベンチャー」の挑戦

元メルカリCFOらの新ファンドから巨額調達

もう1つ同社が重視するのは、「アンドパッド」の機能を最大限使いこなせるよう顧客に対する導入サポートをきめ細かく行うことだ。アンドパッドは東京以外に大阪、福岡、仙台に拠点を設けており、前期(2020年8月期)は毎月約100回の操作説明会を実施、約1万人の事業者・職人向けに直接レクチャーを行ってきた。新型コロナの感染拡大後は大規模な説明会の開催が難しくなってしまったが、現在も導入先からの要請に合わせ、各拠点から機動的に社員を派遣しているという。

稲田氏自身も、コロナ以前は全国各地を飛び回り、建設事業者や工務店に足を運んだ。「地域密着企業ならではの組織の成り立ちや経営者の思いを知れるのは純粋に面白い。それに、当社の提供するようなインダストリーSaaS(業界特化型のクラウドサービス)はツールを売ることではなく、経営者と向き合って課題解決していくことが最大の価値だと思っている」(稲田氏)。

「アンドパッド」では施工現場の進捗管理や作業者同士のやり取りを一元的に行える(画像:アンドパッド)

アンドパッドは組織の増強も進めている。現在の社員数は200人強で、1年間で倍以上に増えた。機能開発に従事するエンジニアのほか、営業や「カスタマーサクセス」と呼ばれる導入支援の要員も増強しており、昨今は建設業界出身者の参画も増えているという。向こう1年間で400人まで増やしたい考えだ。また経営陣には2020年4月、ミクシィなど複数企業で財務を統括してきた荻野泰弘氏をCFO(最高財務責任者)に招いた。

今回の資金調達について荻野氏は「10年、20年、30年後のアンドパッドの理想像から逆算して資本戦略を考え、実行した」と話す。前述のとおり、アンドパッドは既存顧客の利便性向上に向けたプロダクト開発を最重視している。「そうした考えやビジネスモデルを貫くことに賛同してくれる投資家、かつグローバルに通用するプラットフォームを目指すうえでの知見やネットワークを提供してくれる投資家に入ってもらいたいと考え、さまざまな投資家と協議した結果、現在のような株主構成となっている」(荻野氏)。

海外機関投資家の目に留まるための「条件」

アンドパッドのように非上場のまま資金調達を重ねユニコーンを目指す動きは、ここ数年、日本でもようやく活発になってきた。2018年に上場したフリマアプリのメルカリ、2019年に上場したクラウド名刺管理のSansan(サンサン)やクラウド会計ソフトのfreee(フリー)などがその代表例だ。

いずれの会社にも共通するのが、上場前のレイターステージ(成熟期)での資金調達で海外のベンチャーキャピタル(VC)や機関投資家の大型投資を受けているということだ。

成長段階のベンチャーは先行費用がかさみ、上場段階でも赤字であることが少なくない。中長期的の視点で投資する機関投資家が株主として入らなければ、短期的な損益の動向で株価が乱高下してしまうおそれがある。ただそれを回避しようにも、時価総額が1000億円以上の水準でなければ、投資規模が大きい海外の機関投資家の目に留まることはまずない。

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