ユニコーンへ邁進!「建設DXベンチャー」の挑戦 元メルカリCFOらの新ファンドから巨額調達
一方で、レイターステージのベンチャーに数十億円規模のまとまった資金を投じられるVCは、国内にはまだ数えるほどしかない。上場後の経営を見据えて足元の資金調達における最適解を探るのは「針の穴に糸を通すような難しさがある」(アンドパッドの荻野氏)。
そんな課題を解決すべく今回新たなファンドを立ち上げ、第1号案件としてアンドパッドに投資したのが、2020年9月までメルカリで最高財務責任者(CFO)を務めた長澤啓氏だ。長澤氏は9月にアメリカの大手証券、モルガン・スタンレー投資銀行部門でインターネット・ソフトウェア領域の日本統括責任者だった村島健介氏と共同で、ミネルバ・グロース・パートナーズを設立した。
第1号ファンドは早ければ年内までに150億円の調達を目指す。ファンドの出資者は海外の機関投資家が中心になるという。上場前のITベンチャーを対象とし、1社当たりの投資額は10億~30億円となる計画だ。
「メルカリが初めてユニコーンとなった2016年1月の資金調達では、数十億円規模で出資してくれるファンドが日本におらず、海外を飛び回った。時価総額が小さいまま上場して成長が止まってしまう企業がたくさんある。未上場段階から忍耐強く投資するマネーが必要だと感じていた」。長澤氏はそう振り返る。
日本株ファンドが上場後も継続支援
一方の村島氏は、アメリカのフェイスブックが上場した2012年頃に同社を担当するシリコンバレー支社に勤務。未上場段階で大型の資金調達を実現して上場につなげるベンチャーの動きを間近で見てきた。その後、日本でメルカリやラクスル、フリーなどの上場を手がけた。「ここ数年で日本株に投資している海外機関投資家が未上場のベンチャーに投資する例も増えてきた。ただ、まだまだ裾野は広げないといけない」(村島氏)。
ミネルバの新ファンドには香港に拠点を置く上場株ファンドであるプレイアド・インベストメント・アドバイザーズも参画した。プレイアドは日本株を3000億円規模でを運用しており、メルカリやフリーなどのITベンチャーの上場時に投資。出資先の上場後はプレイアドのファンドが株を長期保有し、支援を続ける狙いだ。プレイアドの出資元は海外の大学や年金基金など大型の機関投資家であり、ミネルバのファンドに機関投資家を呼び込む役割も担う。
長澤氏、村島氏、そしてプレイアドの3者は、それぞれCFO、主幹事証券、投資家という立場でメルカリの上場にかかわった縁がある。多くのベンチャー投資家が「成功事例」として引き合いに出すユニコーンの大型上場で活躍した面々が、今度はそれを持続的に生み出そうとする側に回るわけだ。ベンチャー業界に新たな潮流を創り出せるか。
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