異常な米大統領選はどこまで織り込まれたのか 11月3日の投票日はもはや「ゴール」ではない

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一方で、9月初旬以降のハイテク株主導の株価の下落は、行き過ぎの領域まで株価が上昇していた分が調整したという意味では、「健全な調整」と筆者は位置付けている。とすれば、民主党が大統領選と上下院(議会)を制する「トリプルブルー」となるリスクが、アメリカの株市場で本格的に織り込まれたとは言い難いだろう。

このため、当面、大統領選挙に関する報道が株式市場の主たる材料になるだろう。なお、先述した通りメディアが伝える世論調査などではバイデン氏優勢とされているが、Real Clear Politics(リアルクリアポリティクス)社が集計した賭けサイトの勝利確率は、8月からトランプ勝利の可能性が再び上昇して、トランプ氏、バイデン氏の勝利確率はほぼ拮抗している(9月に若干バイデン氏が優勢に動いている)。そして、市場参加者の多くが、賭けサイト同様に勝敗はほぼ5分5分と判断していると見られる。

第1回のテレビ討論会は批判の応酬に終始

筆者は、こうした状況が続いたまま11月3日の投票日を迎える展開を想定している。今後のイベントによってどちらかの勝利確率が高まれば、株式市場は上下するだろう。株式市場のファーストリアクションは、減税継続を経済政策の中心に掲げるトランプ優勢の材料が出れば、素直に株高に反応する可能性が高い。

なお、9月29日に行われた第1回のテレビ討論会は、両候補がお互いの言説を批判し合う場面が多く、政治ショーの側面が強かった。どちらの候補が有利になったとも思われないが、懸念されていたバイデン候補の討論パフォーマンスの観点では大きな失点はなかったとみられる。テレビ討論会の最中にはやや上昇していたアメリカ株先物指数は、討論会後には上昇力を失い下落に転じた。バイデン候補が冷静かつ無難にやり過ごした、というのが討論会直後の本稿執筆時点の金融市場の反応となっている。

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