「世界一忙しい日本の教師」を救う親の"神対応" 教師に相談したいときに加えたい"一言"

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先生に何かをお願いする際、重要なことがあります。それは何か問題があるときにも、いきなりは文句を言わないこと。会話の中で「うちの子がすごく喜んでいました」「ありがとうございます」と、まず一言、先生への「感謝」や「ねぎらい」の気持ちを伝えましょう。先生だって1人の人間です。先生の頑張りに対して、まずお礼を言うだけで「教師のその子へのやる気」はアップし、子どものメリットにつながります。

保護者から先生にお願いをするときには、次の3つのステップを踏むと効果的です。

1つ目は「先生、いつもありがとうございます」と感謝を示すこと。
2つ目が、抽象的な要望ではなく、具体的な行動レベルのお願いをすること。
3つ目が、勇気づけです。

「ほかの先生じゃダメだけど、先生だったらやってくださると思って」
「信頼している先生だからこそ、申し上げるのです」

などとその先生のことを「信頼している」「期待している」という勇気づけのメッセージを伝えて、先生のやる気を喚起させるのです

保護者から若手の教員を勇気づけて

保護者の方には、ぜひ若手の先生を「勇気づける」という目線をもっていただきたいのです(今、第2次ベビーブームに対応して大量採用された教師が定年退職を迎え、全国的に若手教師が激増しています)。

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そう申し上げると、「なんで給料をもらって仕事をしている先生に、わざわざお願いをしたり、勇気づけたりしないといけないんだ」と思う人がいるかもしれません。でも、それが現実なのですから、仕方がありません。

ただでさえ、今どきの若い先生は、学校が「ブラックな職場」だと知っていながら、生きがいだけを求めて教師になってくれている貴重な人たちです。そんな「情熱バカ」ともいえる若手の先生をつぶしてしまってよいことなど何ひとつありません。

ぜひ、「先生だったらできると思うんです」「先生ならやっていただけると思うんです」と勇気づけて、やる気にさせていただきたいのです。

諸富 祥彦 心理カウンセラー
もろとみ よしひこ / Yoshihiko Morotomi

1963年福岡県生まれ。1986年筑波大学人間学類、1992年同大学院博士課程修了。イギリス・イーストアングリア大学、アメリカ・トランスパーソナル心理学研究所客員研究員、千葉大学教育学部講師、助教授(11年)を経て、現在、明治大学文学部教授。教育学博士。時代の精神(ニヒリズム)と「格闘する思想家・心理療法家」(心理カウンセラー)。日本トランスパーソナル学会会長、日本カウンセリング学会理事、日本産業カウンセリング学会理事、日本生徒指導学会理事。教師を支える会代表、現場教師の作戦参謀。臨床心理士、上級教育カウンセラー、学会認定カウンセラーなどの資格を持つ。

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