あえて「住まいを固定しない選択」が増える理由 定額制や減額制などさまざまなサービスが登場

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最後に紹介するのは、家賃の減額制を取り入れたUnito(ユニット)だ。減額制導入は、Unitoの近藤佑太朗代表が、出張が多くて月の半分しか賃貸住宅に住んでいなかったため、家賃が無駄だと思ったことがきっかけだと言う。

減額制のカギは、リレント(Re―Rent)機能だ。外泊などで借りた部屋に帰らない日は、その分だけ家賃が戻る。つまり、住んだ日数だけ家賃を支払うわけだ。帰らない日はどうなるかというと、宿泊客が利用する。

外泊する場合はその3日前までに施設に連絡し、外泊するときには自分の荷物を鍵付きロッカーなどに預けておく。施設側はその間の宿泊者を募集し、清掃や受け入れなども施設側が行う。実際に宿泊客がいるかどうかにかかわらず、家賃は日数分だけ減額される仕組みだ。なお、リレントができる日数には施設ごとに制限がある。

プラットフォームに注力

Unitoで部屋を借りるときに必要になるのは、身分証明書とクレジットカードという点は、ほかのサービスと同じだ。初期費用として、デポジット(保証料)の3万円と家賃の12%の手数料(火災と盗難に対する保険料を含む)を払う。家賃は住まなかった日数を精算して後払いとなる。

家賃の減額制を取り入れたUnito(写真:Unito提供)

さて、UnitoがOYO LIFEやADDressと異なる点は、ビジネスモデルがプラットフォームという点だ。Unitoも自社で運用している施設が一部にはあるが、物件の多くは提携先の宿泊施設だ。そもそも事業の立ち上げ時は、物件を借り上げて実際に運用してノウハウを構築しようと考えていたが、コロナ禍で宿泊施設が打撃を受けたことから、プラットフォームに力を入れることに方向転換した。

こうした経緯から、サイトに登録している物件は約7割が民泊施設、約3割がサービスアパートメントだ。サイトの利用者に並行して利用するサイトを聞くと、宿泊予約サイトではなく、88%がSUUMOやLIFULLなどの賃貸住宅を検索できるサイトだったそうだ。賃貸住宅として認知されているということだろう。

だが、外泊する人がそれほど多いのだろうか。最近は、「半一人暮らし」「2分の3一人暮らし」といった、恋人や友人の家に頻繁に泊まりに行く人が多いという。ほかにも「お試し同棲」という利用者もいるそうだ。またコロナ禍では、緊急事態宣言下でも通勤しなければならない公務員や銀行員などが、自宅以外に通勤する日のサブ拠点として借りるといった事例もあったという。

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