あえて「住まいを固定しない選択」が増える理由 定額制や減額制などさまざまなサービスが登場
会員になると、ADDressが運営する物件から部屋を選んでWeb予約をする。予約が承認されれば、そのまま現地に行って生活をスタートすることができる。敷金や礼金などの初期費用もかからないし、利用中に備え付けの物品の破損などがなければ退去費用もとくにかからない。
ADDressのサービスの起点は、「21世紀の参勤交代プロジェクト」だという。「都心から地方へ」「移住しなくても地方に気軽に行き来できる」といったことを実現するためにADDressを立ち上げ、地方の遊休資産である空き家などの活用に着目して、借り上げて住めるように改修した。
政府は今、定住でも観光でもない、地方に多様にかかわる「関係人口」の創出を目指しているが、まさしく関係人口に寄与するのがADDressのサービスだ。リピートされるためには、人の介在が必要であると考え、物件ごとに「家守(やもり)」と呼ぶ地元の管理者がいるのもADDressの大きな特徴だ。物件の管理だけでなく、地域との交流やローカルな体験ができる機会を作ったりする役目も担っている。
地方の空き家などを活用する
実際にサイトで物件を検索してみると、地方の空き家などを活用しているためか、地方に物件が散らばっているので、必ずしも住みたい場所に物件があるとは限らない。
それでも、新型コロナの影響もあって会員数が急増した。緊急事態宣言前の単月の新規会員数と比べると、8月の新規会員数は4倍になった。物件数を急拡大するために、コロナ禍で打撃を受けた宿泊施設との連携も始めた。その結果、3月末時点に対して、8月時点の合計物件数は1.5倍に増えている。
どういった利用者が多いのかを聞くと、実に千差万別だという。例えば、北から南まで異なる物件を利用する「制覇型」もいれば、平日に趣味を楽しめる温泉や海、山などの特定エリアをリピートする「ワーケーション型」もいるし、家族会員の場合は週末に利用する「休暇型」も多いなど、さまざまだ。
こうした多拠点生活をするうえで、移動にかかる費用がネックになってくるが、ADDressでは現在、交通機関と提携して、会員向けに移動費用が定額制のトライアルを行っているという。
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