考えを文章だけで表す人は図の威力を知らない 無駄をそぎ落とし必要なことをわかりやすく
だが、そもそも図とはなんなのだろう? このことについて平井氏は、本書におけるいちばんシンプルな図を、「紙1枚(例えばA4)に描かれる線や丸や四角と言葉で表現されるイメージ」と定義づけている。
ちなみにこの場合の言葉とは、長い文章ではなくキーワードや簡単な見出し程度のもの。読むのではなく、目に飛び込んでくるくらいのものであるということで、線や丸や四角と同様の視覚的要素ということになる。
したがって、無駄をそぎ落とし、必要なことだけを紙1枚に描いた図は「思考の全体像」となるわけである。それは、平井氏の言葉を借りるなら「現実から抽象的に切り出された本質的に大事なものであり、頭(とくに右脳)でいじることのできるイメージ」である。
図の種類(概念図・構成図・分析図)
なお平井氏は、図を大きく以下のような3つに分けて考えているそうだ。
(外部配信先では図を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)
まず1つ目は、「最もシンプルなポンチ絵」と表現されている「概念図」。1枚の紙の上に思いつくまま、丸や四角や線を描いていく図のことで、つまりは落書きのようなもの。まだ頭がモヤモヤしているような段階において新たな着想を得たり、あるいは問題の構造を見つけたりするため、試行錯誤しながら描く“自由演技の図”である。
2つ目の「構成図」は、「型」を活用しながら描く図。なんとなく思考の切り口が見え隠れしているような場合は、有効な「型」を当てはめてみることが効率的だということ。問題の全体像を捉えるのに適しているわけだ。概念図が自由演技だとすると、これは規定演技的なものだそうだ。
そして3つ目の「分析図」は、なにか特定の対象を“分”けて明“晰”にするために描く図のことだが、本書では主に「概念図」(基礎編)と「構成図」(実践編)に焦点を当てており、「分析図」は扱っていないという。本書の主眼がビッグ・ピクチャーを捉え、大事なもの、本質的なもの、構造や論理をあぶり出すことにあるからだ。
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