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「SFのような世界」を日常にする最先端生命科学 コロナ禍を見通した科学者が描く「人類の未来」

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  • 塩野 誠 経営共創基盤(IGPI)代表取締役CEO
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このバイオトラッキングと、コンピューターによる食事のアドバイスを組み合わせることで、主流となっている糖尿病薬による治療と同じくらい、血糖値を下げることができるという論文を発表しており、非常に興味深い。

このようなテクノロジーの進化は、健康寿命の延長に大きく寄与するに違いない。

科学者だからこそ見通せる未来

本書はすべての人間が必ず直面する問題である「老い」について、さまざまな角度から考察するものである。その範囲には過去や現在だけでなく、未来までもが含まれる。

著者はすでに老いを克服してしまった人類についても思考をめぐらしており、その未来は衝撃的で、刺激的だ。

60代の有権者が、あと60年も70年も生きて投票を続けたらどうなるのか、はたまた高齢の独裁者が若さを保ったままで権力の座にとどまり続けたらどうなってしまうのか、などといった思考実験にも、大いに考えさせられる。

遺伝子改変を施した家畜の体内で、人間の臓器を育てたり、3Dプリンターで臓器を印刷したりできる世界の行き着く先は、いったいどのようなものなのだろうか?

1997年のSF映画の佳作『ガタカ』が描写したように、遺伝子編集技術によって「もてる者と、もたざる者」とに人々が隔てられる世界が到来してしまうだろうか?

一方で著者は、寿命が長くなった人間には、ほかの人間を気遣う時間的余裕が生まれるのではないかとも考える。ここは1人の読者としても、来るべき未来に想像を膨らませたい。

最後に本書は、新型コロナウイルスのパンデミックが起きる前に書かれたものであることをお伝えしたい。そして著者は「最悪に備える」として「パンデミックがいつ起きてもおかしくはない」と強く警鐘を鳴らしていた。

コロナ禍が起きる以前に、ジェット機時代の今日では「病原体との闘いは1分1秒が物をいう」と本書は伝えていた。科学者である著者は、その科学的知見をもとに、未来を鋭く見通していたのである。

本書で描写される世界は、SFのように思えるかもしれない。しかし、新型コロナウイルスのパンデミック同様に、起きてしまえばそれが「新しい日常」となるのである。

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