「インフルエンサー」は本当に使えるのか? なぜ、あの人のクチコミは影響力があるのか(2)
インフルエンサー研究の多くは、あるモノサシで消費者を分類した場合のトップ数パーセントを占める、一握りの特別な存在に着目していることはすでに述べました。
「インフルエンサー」と呼ばれる特別な消費者にクチコミ情報を提供すれば、効率よく一般消費者にクチコミが普及する、というのがインフルエンサー・マーケティングの考え方の基本です。しかし、一般消費者は、高度な専門知識を持つインフルエンサーのクチコミを求めているのではなく、「少し上」の人の意見を聞きたいことが明らかになりました。クチコミの普及には前述のケラーとベリーの著書が想定するような中央集権型インフルエンサーではなく、多数の「草の根インフルエンサー」が貢献しているのです。
特別にカテゴリー知識を持った消費者や、極端にリンクを持った消費者は確かに存在します。ただし、彼らが伝播のカギを握っているかどうかは、別問題なのです。ソーシャルメディア上のクチコミの伝播を考える際には、インフルエンサーに代表されるキーパーソンとその属性だけでなく、クチコミ発信者とクチコミ受信者の置かれた社会的関係など、クチコミの文脈を考慮した視点が重要です。そうすると、多数の草の根インフルエンサーの活躍で製品・サービスが広まる姿が見えてきます。
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