ネスレが仕掛けるオフィスコーヒー客争奪戦 独自のアンバサダー制度を導入

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アンバサダーに無料で貸し出されるネスカフェ「バリスタ」(一番右の白いマシン)と「ドルチェグスト」(手前4台)

ネスレ日本がオフィスコーヒー需要の獲得に力をいれている。

3月中旬、都内のあるホテルの一角に800人を超える人の熱気が充満していた。集まったのは、「ネスカフェアンバサダー」と呼ばれる人たちだ。ネスカフェアンバサダーとは、「バリスタ」「ドルチェグスト」など1万円前後のコーヒーマシンを、職場で使うことを前提に、ネスレ日本から無料で借りている顧客のこと。ネスレ日本は、アンバサダーにマシン専用のコーヒーパックを販売して収益を得ている。

この日は、ネスカフェの製造元であるネスレ日本が、アンバサダーたちをホテルに招待して「サンクスパーティ」を開いた。パーティ会場のステージには、同社の高岡浩三社長に続き、タレントや芸人が次々と登場。ビュッフェ形式の食事に加え、同じくネスレが手掛ける「キットカット」の新商品試食コーナー、写真撮影コーナーなど、さまざまなブースが用意し、アンバサダーたちをもてなした。

サンクスパーティが開かれるのは今年で2度目。今年は3月から開催されており、全国10カ所でアンバサダーやその家族・友人を計約5000人招待する予定だ。ネスレ日本がアンバサダーたちを手厚くもてなすのは、アンバサダーが単なる顧客ではなく、ビジネスパートナーともいえる存在だからだ。

登録者数は9万人

ネスカフェアンバサダーは、親会社ネスレの意向ではなく、ネスレ日本が独自に始めたシステムだ。2012年11月に本格的に始めて以降、登録者数は増え続け、現在は9万人以上になっている。

アンバサダーが購入するコーヒーパックの値段は1杯当たりに換算すると20円。職場の人がマシンを利用した場合は、飲んだ分のコーヒーパック代をアンバサダーが回収する。

オフィスでの需要を狙った食品ビジネスに目をつける企業は少なくない。代表例が、菓子大手の江崎グリコが展開する「オフィスグリコ」だ。オフィス内に菓子箱を置き、サービススタッフが来て商品の補充や代金回収、メンテナンスなどを行う。

ただ、ネスカフェアンバサダーとオフィスグリコには大きな違いがある。ネスレ日本はコーヒーパックの購入や補充などを、自社の販売員ではなく顧客であるアンバサダーにすべて任せている。オフィス需要を取り込みたいが、多大な人件費をかけたくはないとの理由から、「人の善意に賭けてみることにした」(高岡社長)。ただ、「最初にアンバサダーになった人は『みんな飲んでくれるか』『代金は回収できるだろうか』という不安があるだろうし、毎月コーヒーパックを買うのも面倒くさいはず。僕らも不安に思ってスタートした」。

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