つらい不眠症を防ぐ正しい知識と効果的な方法 「自己流の対策」でこじらせないための処方箋

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どうしても寝付けない場合は睡眠時間にこだわらず、一度布団を出ることが効果的とされています。静かな音楽を聴く、本を読むなど身体を休めるうちに自然と眠くなるはずです。

それでも不眠症になってしまったら

とはいえ多忙な勤務生活で日々の余裕もなく、すでに不眠症気味……という方もいらっしゃるかと思います。原因の回避、つまり勤務形態の改善やストレス要因の除去がいちばんですが、難しい場合は産業医の先生に相談する、直接ご自身で近くのクリニックを受診するなどで薬物療法に一時的に頼ることもひとつの選択肢です。

睡眠薬というと「飲み始めたら最後、依存してしまってどんどん量が増える」といった強い抵抗感を持つ方もいらっしゃいますが、これは誤った認識です。医師側は患者の睡眠障害の程度を見ながら最終的には薬をゼロにできるように処方をしっかり調整しています。したがって、患者が自己判断で勝手に中断したり、増量したりしなければ比較的安全に使うことができます。飲まなければ依存性もなくなるのでは?と思う方もいらっしゃいますが、睡眠薬は突然中止するとむしろ以前よりも強い睡眠障害がでる(反跳性不眠)ため、十分注意が必要です。

近年は副作用の少ない睡眠薬(メラトニン受容体作動薬、オレキシン受容体拮抗薬等)が用いられるようにもなっていますので、睡眠薬に対する不安があれば遠慮せず医師に相談しましょう。

不眠症は日々の生活に潜む反面、ちょっとした対策で予防することもできます。この機会に生活習慣を見直していただくことで、健康的な睡眠の助けとなれば幸いです。

上原 桃子 医師・産業医

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うえはら ももこ / Momoko Uehara

横浜市立大学卒。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構理事。身体とこころの健康、未病の活動に尽力し、健康経営に関する医療系書籍の編集にも関わっている。医師と患者のコミュニケーションを医療関係者、患者双方の視点から見つめ直すことを課題とし、とくに働く女性のライフスタイルについて提案・貢献することを目指している。

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