石破氏、岸田氏の「2位争い」が何とも熾烈な事情

自民党総裁選、焦点は「隠れ反菅票」の行方

その一方で、地方票でも「総裁選後の主導権争いへの配慮などから、各陣営にバランスをとる動き」(自民幹部)が見え隠れしており、都道府県一律各3人という地方代表票が分散傾向となる可能性も少なくない。このため、自民党内でも「判官びいきも含めて、菅氏の票が予測より30票以上減るのでは」(自民幹部)との見方も広がる。

さらに「仮に菅氏が330票程度にとどまれば、『これは事件』となりかねない」(菅陣営幹部)との不安を漏らす向きもある。その場合は「菅氏支持陣営での犯人捜しが始まり、それが『菅新首相』の求心力にも影を落とす」(同)ことにもなるからだ。

これに対し、低レベルの戦いを余儀なくされている石破、岸田両陣営は、「生き残りをかけての2位争い」でしのぎを削る。特に、4度目の挑戦となった石破氏は、前2回の総裁選で地方票の強さが際立ったこともあって、陣営内にも「今回、地方票も伸びずに3位となれば、これが最後の総裁選になりかねない」(幹部)との悲壮感も漂う。

石破派は19人と弱小で、推薦人20人には事実上の自主投票となった谷垣グループと無派閥に、竹下派1人を加えた5人が名を連ねた。国会議員の固定票は25強とみられており、これに地方票の3割以上(約45票)を足せば、70票程度がいわゆる基礎票で、これにどれだけ上積みできるかが2位争いを左右することになる。

岸田氏、「地方票1桁で3位」なら再起は困難に

これに対し、岸田派は47人と石破派に28人の差をつけており、もともと同じ宏池会系だった谷垣グループや無派閥などから、10人以上の支持が見込まれるため、議員票は60前後が基礎票となる。ただ、各種情勢調査でも地方票は「1割前後」と伸び悩みが際立ち、陣営内でも「何とか2桁(10票以上)は確保したい」と弱気の声も広がる。このため、全体では基礎票は石破氏と肩を並べる70票前後となっている。

かねて安倍晋三首相の「意中の後継者」として、一時は本命視されていた岸田氏だけに、「いくら梯子を外されたとしても、地方票1桁で3位なら再起は難しくなる」(閣僚経験者)のは否定できない。それだけに、「無派閥の“浮動票”や、菅氏支持陣営の議員の1本釣りなどに全力を挙げることで、なんとか80票以上を確保したい」(岸田氏側近)とまなじりを決する。

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