菅新政権は「暫定」か、解散・人事で揺れる党内 焦点は官房長官人事、隠れた「本命」も浮上
安倍晋三首相の後継を決める自民党総裁選が9月8日に告示される。予想通り菅義偉官房長官(71)と岸田文雄政調会長(63)、石破茂元幹事長(63)が立候補。14日の自民党両院議員総会での投開票に向け、コロナ対応や景気対策、日米・日中外交、地方の活性化など重要課題での論戦に臨む。史上最長となった安倍政権の評価や継続の是非も争点となる。
ただ、岸田、石破両派以外の5派閥や無派閥・菅グループなどがそろって推す菅氏の総裁選勝利は確定的だ。党内の関心はすでに、菅新政権の党・内閣人事とそれを踏まえた衆院解散の時期に移っている。
新政権が安倍首相の残り任期を担う暫定なのか。それとも2021年9月の総裁選での再選も狙う本格政権なのか。解散時期もそれと連動するとみられるだけに、総裁選での多数派工作も各派やグループの思惑が複雑に交錯している。
安倍路線の継承を掲げる菅氏
総裁選に挑む3氏は石破氏は4度目だが、菅、岸田両氏は初めて。記者会見やテレビ出演などで政権構想を提示しており、8日以降は3氏の討論と各陣営による議員・地方票の獲得工作が、総裁選の最終結果を決めることになる。
菅氏はアベノミクスも含め内政、外交両面で「安倍路線の継承」を掲げる。安倍首相が退陣表明をした後、世論調査で内閣支持率や自民党支持率が急上昇したことが背景にある。携帯電話料金の値下げや地域金融機関再編などに「菅カラー」をにじませるが、マクロ経済や外交・安保政策は現状維持にとどまる。
岸田氏は、安倍政治の内政外交政策を評価したうえで、アベノミクスはトリクルダウンと呼ばれる波及効果に乏しかったことなどから、「かえって格差が広がった」と批判。中間層の経済基盤底上げに向けた教育費や住宅費の負担軽減策と、地方再生に向けて派閥の大先輩である故大平正芳元首相にならって「デジタル田園都市国家構想」を打ち出した。
一方、石破氏はモリカケ問題も含めた安倍政権への国民の不信感を「民主主義の危機」と指摘。内政では「地域分散と内需主導型経済」による政策転換を主張する。また、当面の課題のコロナ対応でも安倍政権の迷走を批判し、PCR検査のさらなる拡大・強化を訴えている。相次ぐ地震や豪雨災害に機動的に対応するための防災省創設も提唱している。
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