菅新政権は「暫定」か、解散・人事で揺れる党内 焦点は官房長官人事、隠れた「本命」も浮上

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菅氏はここにきて、解散や党・内閣人事については「新首相が決めること」とかわしている。ただ、総裁選から新内閣発足まで極めて短時間であることから、「用意周到な菅氏だから、実際には極秘裏に裏工作を進めている」との見方も多い。支持派閥の実力者らは菅氏の言動や表情に神経を尖らせている。

菅氏にとって、「本格政権を狙うには早期解散・総選挙で勝つのが一番手っ取り早い」のは自明の理。急上昇した内閣支持率や自民党支持率と、分断が目立つ野党陣営を考慮すれば、「今(解散を)やれば300議席も夢ではない」(自民選対)との声も漏れる。

飛びかう秋解散の怪文書

派閥談合への批判払拭を狙って、キングメーカー然と振る舞う麻生、二階両氏を要職から外すか、無任所副総理や副総裁に棚上げして世代交代を図れば、「新内閣の支持率は6割を超える」(世論調査専門家)との見方も出る。それで選挙に大勝すれば、安倍氏に続く「菅1強時代」になるとの見立てだ。

こうした状況も踏まえ、永田町ではすでに①9月下旬に臨時国会召集して解散―10月25日投開票②10月上旬臨時国会召集で解散―11月1日投開票、などの怪文書がばらまかれている。もちろん、コロナの感染拡大がある程度収まることが前提だが、「晩秋からの感染再拡大前に勝負をかける」(自民幹部)という意味では現実味を帯びる。

それにはまず総裁選での圧倒的勝利が前提となる。菅氏の野望をかぎ取って、支持派閥があえて造反を黙認する高等戦術に出れば、菅氏の求心力は低下し、その後の政権運営も各派閥に配慮せざるをえなくなる。

菅新政権が「安倍政権の負の遺産の管理と後片付け」(細田派幹部)ではなく、「新たな自民党の再出発」(菅グループ幹部)に踏み出せるのかどうか。自民史上、異例の無派閥で非世襲の菅氏。新政権発足までの期間が、トップリーダーとしての資質と器量が問われる「運命の8日間」となりそうだ。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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