石破氏、岸田氏の「2位争い」が何とも熾烈な事情 自民党総裁選、焦点は「隠れ反菅票」の行方

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菅氏圧勝の見込みながら、今回の総裁選にはどんなドラマが待ち受けているのか(撮影:尾形 文繁、梅谷 秀司)

次期首相を決める自民党総裁選は、9月14日の投開票を前に菅義偉官房長官の大勝を前提とした消化試合の様相となっている。メディアの事前情勢調査でも、国会議員票、地方票の双方で菅氏の優勢が際立っているからだ。このため、派閥単位の締め付けの中でも見え隠れする“反菅票”が「本番の投票でどれだけ顕在化するか」(無派閥有力議員)に、各陣営の関心が集まっている。

党員・党友投票抜きの「簡略型」となった今回の総裁選は、石破茂元幹事長、菅官房長官、岸田文雄政調会長の3候補が、国会議員394、地方代表141の計535票を奪い合う構図。議員と地方代表による投票で過半数(268票)を超える候補がいなければ、上位2候補による議員だけの決選投票となるのがルールだが、今回はすでに菅氏が圧倒的支持を集めているため、「一発決着」となるのは確実だ。

そこで政界が注目するのは「票の出方」(自民幹部)だ。具体的には菅氏がどれだけの票を獲得するかと、石破、岸田両氏の2位争いの行方。菅氏が予想通りの完勝となれば「本格政権の可能性が広がる」(自民長老)とされる一方、石破、岸田両氏のいずれかにとっては、3位に沈んだ場合、「次への挑戦権を失う危機を招く」(自民幹部)との見方が多い。

菅陣営の目標は「380票以上」の完勝

9月8日に告示された選挙戦はすでに後半戦で、大手メディアはそれぞれさまざまな手法を駆使して情勢調査を実施、その内容を報道している。これに3氏の陣営の票読みも加味すると「菅氏支持が7割以上で、石破、岸田氏の2位争いは大接戦」というのが大方の予測となっている。その結果、すでに以下のような3候補それぞれの「勝敗ライン」が浮かび上がっている。

すでに「当確」の菅氏が目標とするのは「全体の7割強となる380票以上」だ。細田派(98)、麻生派(54)、竹下派(54)、二階派(47)、石原派(11)に加えて無派閥議員の半数以上(約40票)の支持を受けており、単純に足し算すれば議員票だけで300票を超える。これに、地方票の6割弱(80票前後)が上積みされれば380票以上となる。

ただ、前回総裁選で所属議員の参院組を中心に半分近くが石破氏に投票したとされる竹下派は、今回も足並みの乱れが目立つ。しかも、菅氏が無派閥ということもあって、支持する細田派など4派閥にも、一定数の“隠れ反菅”議員が存在するとみられている。

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