1平米で11円、「掃除機のサブスク」がアツい理由

循環型経済を生き抜くのに不可欠な発想の転換

考えてみると、私たちは掃除機という「モノ」が欲しかったのでしょうか。格好よく、速いクルマには所有する喜びがありますが、掃除機に求められるのは「所有」よりも、むしろ部屋をきれいにするための「機能」や「性能」。エレクトロラックスはそうした私たちの真のニーズに応えようとしたのです。

対象となる製品は「ピュア・アイ・ナイン(Pure i9)」というロボット掃除機で、掃除面積1平方メートル当たり1スウェーデン・クローナ(約11円)、毎月の基本料金として79スウェーデン・クローナ(約869円、メンテナンス料込み)を支払うサブスクリプション(定額・従量課金制)方式を採用しています。

ユーザーは専用アプリを使い、外出先から掃除のスケジュールを設定したり、清掃した面積を確認したりすることができます。

仮に、50平方メートルの家に住む人が週1回ペースでロボット掃除機を稼働させると、毎月支払う料金は約2200円。今、スウェーデン国内で同じロボット掃除機を買うと、4990スウェーデン・クローナ(約5万4890円)かかりますから、だいたい2年間は製品を購入するよりも出費を抑えられることになります。

「5万円を超す掃除機はちょっと買えない」と躊躇する人でも、「月々2200円」に反応する利用者は確実にいるという判断です。

1台分の利益を2年かけて回収するとなると、ずいぶん悠長に思えるかもしれません。しかし、このビジネスモデルには、企業側にも十分メリットがあります。掃除機の所有権は利用者ではなく、エレクトロラックスにあることが重要なポイントです。

戻ってきた掃除機は、製品検査ののち、壊れていたり汚れていたりするところを交換・修理して、また別の利用者に貸し出します。所有権を自分たちが持つことで、より耐久性の高い製品づくりをし、1台当たりの生産のコストパフォーマンスを高めることができます。

また、掃除機にデータ処理機能やメモリー機能を内蔵したインテリジェント・センサーを付け、利用状況を把握することで、借り手がどのくらいの頻度で掃除をしているのか、掃除をする場所はフローリングが多いのか、といった情報も一緒に集めることができます。

エレクトロラックスにとっては、これまで知ることのなかったユーザー行動のデータとなり、次の製品開発に生かすことができるのです(もちろんビッグデータの活用には、個人情報など、法に準拠した形の徹底などが前提です)。

価格競争は敗者しか生まない

他業界でも「サービスとしての製品」に着目した、新たな試みが始まっています。

例えば、タイヤ業界のミシュランが法人向けに提案する「ペイ・バイ・ザ・マイル(PAY BY THE MILE)」は、タイヤを販売するのではなく、タイヤを貸し出し、走行距離に応じて料金を請求するシステムです。

複数台のトラックを所有する運送会社にとっては、タイヤ購入の初期費用を抑えられますし、メンテナンスもミシュランが請け負ってくれるので、パンクをしたときに交換したり、走行距離に応じて点検したりする煩わしさからも解放されます。

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