芦田愛菜「信じる」が中国人も称えるほど深い訳 年齢も国境も超え、天才子役から人格者に成長
芦田さんは、まだ16歳の高校生であり、百戦錬磨の大人たちとは経験の差がありますが、そこは女優という職業柄でカバー。主にフィクションの世界で他人になり切ることが仕事の女優は、「もし自分や相手がこんな性格で、こんな状況に置かれたら……」などとイメージして、自分の価値観から離れることに長けているのです。
たとえば、「もし信じていたものが間違っていたら……」「もし最愛の人に裏切られたら……」などと本気で考える機会が次々に訪れるため、脳内に人間の多様性がインプットされていくのでしょう。
映画『星の子』は、「あやしげな宗教を信じる両親のもとで育った少女が、徐々に自分の置かれた世界に疑問を抱きはじめ、葛藤しながらも成長していく」という物語。芦田さんは、この少女のような難役を演じるたびに本気で向き合って考え、自分の中で消化することで、現在の人間性を養っていったのでしょう。
最後に、今回のイベントで1つだけ気になったのは、芦田さんがコメントしたあとのやり取り。芦田さんのコメントが終わったとき、予想以上の深さがあったからか、現場が静まり返りました。そんな空気を察した大森立嗣監督が「難しいよ……」と笑いを誘うようなツッコミを入れ、芦田さんは微笑みながら「(熱弁してシーンとさせてしまい)すいません」と謝ったのです。
さらに、司会者から話を振られた共演の永瀬正敏さんが、「(芦田さんは)しっかりしてるでしょ。『これ以上の答えはないんじゃないか』ってくらい」と笑いを交えつつ称えていました。
人間性が豊かになるほど訪れる孤独
このやり取りを「大人たちが笑いを誘う言葉でフォローした」とみるか。それとも、「芦田さんのコメントについていこうとした大人がいなかった」とみるか。イベントとしては前者の対応で間違っていないのでしょうが、後者の感があったことも否めず、芦田さんの孤独を感じてしまったのです。
事実、日ごろコンサルをしていると、「人間性が豊かな人ほど、その片鱗を見せると周囲の人々が戸惑い、結果的に孤立してしまう」というケースは少なくありません。これは芦田さんのような、考え続け、成長し続ける人の宿命とも言える現象であるものの、本人にとっては寂しさを感じるものです。「人間性が豊かになり、成長を重ねた結果、周囲との話が噛み合いづらくなり、孤独を感じてしまう」という点では、企業のトップに近い感覚と言えるでしょう。
年を追うごとに人間性が豊かになり、成長を重ねていく芦田さんにとって、「信じることとは?」という質問は決して難しいものではなかったはずです。しかし、あれだけ丁寧に話しながらも、周囲とのギャップが明らかになってしまいました。だからこそ芦田さんに、よき理解者や手本となる人がいることを願ってやみません。
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