芦田愛菜「信じる」が中国人も称えるほど深い訳

年齢も国境も超え、天才子役から人格者に成長

人間が圧倒的な優しさを得るために必要なのは、日ごろから人や物事と向き合い、考え、悩み、努力するなど、試行錯誤を繰り返しながら生きること。芦田さんの「『揺るがない自分がいる』というのが『信じられることなのかな』」というコメントから、自分自身を受け入れようとしてきた様子が伝わってきますし、だから他人を受け入れる優しさを得られるのでしょう。

「語彙力」よりも優先させたもの

「でも、その揺るがない自分の軸を持つのは凄く難しいじゃないですか。だからこそ人は『信じる』って口に出して、不安な自分がいるからこそ、成功した自分だったりとか、理想の人物像だったりにすがりたいんじゃないかと思いました」

このコメントは人間全体を指しているだけでなく、芦田さん自身に言い聞かせているようにも見えました。当然ながら芦田さんも完璧な人間ではなく、「『自分も他人も信じようとしているのにできない』などと揺れてしまうときもあるのでは?」と感じさせたのです。

しかし、芦田さんは揺れるだけで終わらせず、向き合って考え続け、「私はこうありたい」という姿を追い求めているのでしょう。地道に知識と経験を積み上げ、努力の成果を実感することで、自分の理想像に近づいていく……これはビジネスパーソンにも通じる思考回路であり、「自分の理想像に近づくほど、どんな人や状況に対峙しても、まずは理解しようとする」という圧倒的な優しさにつながっていくものです。

また、今回のコメントを見た人々から、芦田さんの語彙力を称賛する声があがっていましたが、はたして本当にそうでしょうか。芦田さんの語彙力に疑いはないものの、ある意味それは「努力すれば大半の人が得られるもの」であって、彼女の本質ではありません。驚異の読書量で知られる芦田さんなら、もっと豊富な語彙力を生かしたコメントにすることもできたでしょう。

彼女はあえて語彙力を駆使せず、わかりやすい言葉を選ぶことに終始しました。芦田さんのコメントから、「持ち前の語彙力をどう使うか」ではなく、「どう言えばわかりやすいか」を第一に考えている様子がうかがえるのです。

おそらく日ごろから、「難しい言葉を聞かせて語彙力を見せつける」のではなく、「理解しやすいようにわかりやすい言葉を重ねていた」のではないでしょうか。やはり芦田さんは単なる勉強家でも、語彙力を誇示したい自信家でもなく、人を思う優しさがベースにある人なのです。

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