「コロナ禍で生活破綻する人」が陥りがちな失敗 ピンチの時こそ「中長期の視点」を持つ

拡大
縮小

最悪の事態を具体的に予想する

災害や疫病といった非常事態においては、どう努力してもお金のやりくりができず、不安を募らせてしまいます。

不安になるのは、先が見えないからです。ならば、知性を使っていまの現実を直視し、先のことを考えましょう。「どうしよう」ではなく「どうするかを考える」のです。間違っていてもいいから、自分の頭で考えることが大切です。

不安を解消するひとつの手段は、最悪の事態を予想しておくことです。ポイントは、数字ベースで考えること。あらかじめ決めたラインを越えてしまったら、多少過激な強硬手段も辞さない覚悟を決めておくのです。

・貯金の取り崩し額が〇〇円になったら、リカバリーするまで習い事や外食をいっさいやめる
・3カ月後も収入が回復しなかったら、転職活動をはじめる
・貯蓄が〇〇円以下になったら、荷物をまとめて実家に帰る

このように、最後の一線を越えたときの行動を決めておくことで、気持ちがラクになります。

急激に売り上げが落ちている自営業者であれば、売り上げゼロが続いた場合の予算表を組んでみましょう。半年間はなんとかもつとわかったら「この状況が半年続いたら廃業して就職活動をはじめよう」などの覚悟ができます。それまでは、少しでも売り上げを伸ばすことを考えたり、次の仕事の準備をしたりすればいいだけです。不安になっている暇はありません。

困ったときには、のどから手が出るほどお金がほしいものです。それでも安易な借金はしてはいけません。すべての借金が悪いわけではありません。きちんとした返済計画があれば、借金は有効なものです。住宅ローンや奨学金などがそれにあたります。

しかし、当座のお金ほしさの、返済の目処が立てられない借金は厳禁です。借金は、いずれ返済しなくてはならない他人のお金です。しかも借りているあいだは利息がかかります。事業資金を借りる場合でも、確固たる事業計画があり、事業拡大(=利益を増やす)のためならいいのですが、焼け石に水のような借金を繰り返せば、やがて資金がまわらなくなってつぶれてしまいます。

家計において打開策がなく、借金しか手段がないようなときは、良質な融資からあたってみましょう。良質な融資とは、公的な融資です。利子や保証人がいらない、返済開始は1年後から、返済期間は10年など、無理のない条件が設定されています。

次ページ借金を「軽い気持ち」でしてはいけない
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT