アベノミクス失敗の本質と新政権がすべきこと

元日銀審議委員の木内登英氏の語るポスト安倍

安倍政権の政策はつねに政治色が濃く、「やってる感」を出すことが優先された。経済政策だけではない。アグレッシブに次々政策を打ち出すが、いずれも効果の根付くものだったのか疑問だ。

グローバルにみても歴史的にみても潜在成長率が高ければ、賃金も上がり物価も上がる。物価だけ、賃金だけを政府が介入して引き上げようとするのは無理だ。成長期待が持てれば、企業の投資も増えて、賃金も上がって、結果的に物価も上がる。物価は経済の実力に見合ったものにしかならない。

デジタル化、一極集中の解消、サービスの生産性向上

――次期首相にはどのような政策を求めますか。

コロナショックの経験を将来に生かすことだ。コロナショックの経験が人々の意識に残っている間にやるべきことが3つ挙げられる。

第1に、デジタル化の推進だ。コロナショックでリモートワークなど個人がよりデジタルを使うようになっているので、ここで一気に加速させるべきだ。決済を担うe-バンキングは重要で、スマホ決済やデジタル通貨の機運が高まっている。日本銀行は中央銀行デジタル通貨の研究を進めるとしているが、中国への対抗上言っているだけにとどまっている。本気で公的なデジタル通貨を導入すれば、キャッシュレス化は大きく進む。

また、OECD(経済協力開発機構)各国の中で、日本が最下位にあるのが、e-ガバメントだ。クラウドの利用やe-ラーニングも遅れている。政府がデジタル化を進めていく必要がある。

第2に東京一極集中をどう緩和するか。足元で少し流入が減っているが一時的だと思う。今後とも人口密度高いと感染症の拡大リスクは高まる。かつては東京に集まることで効率がよくなるというメリットがあった。しかし、デジタル化が進めば、政府は東京に集中する必要もない。計画倒れになっていた省庁移転を進められる。

企業同士も近くにいる必要もない。また、よく知っている企業同士が組むという時代でもない。それでは、もう煮詰まってしまって知恵が出なくなっている面がある。フェースシールドの設計図を大学が公開して、企業がそれを作るという話があったが、ネット上で大学とつながるとか、知らない企業同士が結びつくという形でビジネスが成立している。

OECDの分析研究でも都市でいうと700万人までは効率が良くなるが、これが臨界で、それを超えると集中のデメリットが出て実質賃金が下がってくる。地方に埋もれているインフラ、土地、人材などを有効に使うことができれば、経済効率を高められるのではないか。

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