日本銀行、限界を迎えたファイティングポーズ 新型コロナ不安の増幅により試される実行力

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日本銀行の黒田東彦総裁。不安が増幅するマーケットに何ができるか(撮影:今井康一)

「必要であれば躊躇なく追加緩和を行う」。そう言って長きにわたりファイティングポーズのみで市場の動揺を乗り切ってきた日銀は、いよいよ実行を迫られている。しかし、考えうる方策は多くの副作用をはらむものばかりだ。

3月に入り、新型コロナウイルスを発端としたマーケットの混乱が一段と増幅している。3月9日のダウ平均株価は、取引開始後一時2000ドル超下落。日経平均株価は2万円台を割り込み、一気に円高が進んだことでさらなる株安の懸念が高まっている。感染拡大の収束メドが立たないだけに、予断を許さない状況だ。

2020年1月以降、ロシア、中国、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイなどが利下げを実施。新型コロナウイルスによる景気減速に言及する中央銀行も多く、アジアの国が目立つ。

FRBの利下げでも株安は止まらない

3月3日には先進7カ国の財務相・中央銀行総裁が「(世界経済を)下方リスクから守るために、すべての適切な政策手段を用いる」と共同声明を発表した。すると4日、アメリカの連邦準備制度理事会(FRB)が0.5%の緊急利下げを実施。それでも市場の動揺は収まらず株安が進んだ。

日銀の黒田東彦総裁はマーケットの変調に対し、「適切に躊躇なく対応していく」と強調している。足元で動きがみられるのは、ETF(上場投資信託)の買い入れ増加だ。日銀がメドとする年間の増加額は6兆円程度、月間ベースで5000億円程度が目安となる。

3月に入り、2日、6日、9日、10日に行われたETFの買い入れでは、1002億円の買い入れを実施。従来の1回で700億円程度という規模から大幅に増額し、3月上旬にしてすでに4000億円以上の買入を行った。それでも株価下落は止まらない。日銀の買いよりも市場の不安心理(売り圧力)のほうが強いわけだ。

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