「侍ジャパン」から始まる、野球の大逆襲 野球界が、真の改革へと動き出した

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では、野球界が侍ジャパンに求めるものは何か。日本ハムの球団代表を務める島田利正は、「いちばんはマーケットと競技人口の拡大」とプロ側の声を代弁する。片や、アマチュア側の鈴木にとって、求めるのは「野球の底辺拡大」だ。両者の目的はまさに合致している。

国際試合は若年層に人気

2009年にWBCで原辰徳が監督を務めた頃から、野球日本代表は「侍ジャパン」と呼ばれているが、当初は「ザックジャパン」や「なでしこジャパン」のように単なる愛称にすぎなかった。その意味が深まったのは2011年。以前は、プロからトップクラスを招集して“真の”日本代表を結成するのはWBCやオリンピックという大舞台のみだったが、侍ジャパンが常設化されることに決まった。サッカーやバレーボールと同じように、本当の意味での日本代表が定期的に活動するようになったのだ。

この際、最後まで異を唱えていたのが日本ハムの島田だった。

「われわれは12球団の中で唯一、国際試合に反対派でした。プロ野球はそういうスポーツではない、と。現場系の取締役である立場からすると、定期的に国際試合の日程を確保するのは難しい。『4年に1回のWBCがむしろ、プロ野球界にとってプロモーションになっていい』という考え方でした」

前回の2013年WBCでは不出場問題が勃発したが(理由や経緯は筆者の原稿を参照)、当時、島田はNPBの国際関係委員長として主催者側との交渉に当たっていた。さまざまな人といろいろな角度から話をするうち、球界が直面する危機感を膨らませていく。より正確に言えば、薄々と気づいていた現実を、ようやく直視するようになった。

2004年に北海道に移転して以来、観客動員数、地元でのテレビ視聴率ともに好調だった日本ハムだが、近年は減少に転じている。さらに、顕著なのがファンの高齢化だ。日本全体で野球の競技人口が減少している現実を考慮すると、数十年後、札幌ドームまで駆けつけるファンは急減しても不思議ではない。

片や、侍ジャパンの試合に目をやると、スタジアムの客層が普段のプロ野球とは異なっている。通常のペナントレースと比べ、若いファンが目につくのだ。実際、その傾向はテレビ視聴率にも表れている。日本シリーズには関心の薄い20代だが、日の丸を背負う侍ジャパンの試合では、数字が高くなっているのだ。

 

 

 

 

 

 

ここに、野球界の光明が見える。侍ジャパンを入口として、プロ野球&アマチュア野球ファンの拡大を図ることができるのだ。

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