温室効果ガス25%削減に挑む--電子部品の村田製作所が次世代エネルギー製品に技術を応用
電子部品大手の村田製作所が、次世代エネルギー分野の事業を強化している。目下、リチウムイオン電池セルの開発を加速しており、早ければ2010年度内にも量産化に着手する。展開してきた太陽電池セルの電極についても、環境配慮型の新製品投入をにらんでいる。
「種をまいてきたものが、ここに来て芽が出始めている」。次世代エネルギー事業の現況について、同社の村田恒夫社長はそう語る。
陶器製造をルーツとする村田製作所は1944年の創業以来、「単なる価格競争で商売をするのではなく、人のできない独自性のあるもので商売すること」を経営理念に掲げてきた。チタンコンデンサーなど独自色ある製品開発に注力してきた結果、現在は複数の電子部品で業界トップに立つ。電気を蓄えるセラミックコンデンサーは世界シェア約35%、必要な信号だけを通す表面波フィルタは同約40%のシェアを持つ。
薄型二次電池を開発し激戦区へ殴り込み
これまで順調に業績を伸ばしてきた村田製作所も、一昨年の世界同時不況を背景に、客先の急激な在庫調整にのまれた。09年3月期は売上高が前年比17%減の5239億円に、営業利益が前年の1157億円の黒字から、162億円もの赤字に急転落。その後市場が緩やかに回復し、足元の受注は底入れの兆しを見せているが、主力のコンデンサーは台湾企業などの台頭により競争が激化している。単価が年々10%程度下がる厳しい状況だ。