温室効果ガス25%削減に挑む--電子部品の村田製作所が次世代エネルギー製品に技術を応用
とはいえ、リチウムイオン電池事業は、国内だけでも10社以上のメーカーが群がる激戦区。後発の村田製作所が食い込むのは容易ではない。ただ、村田社長は「あまり心配はしていない。セットメーカーと電池メーカーのパートナー関係は完成されているように見えるが、まだまだ変わる可能性がある。さまざまな特性の製品が必要とされる時代が来るだろう」と焦る気配がない。まずは電動バイクなどの小型製品分野で受注を積み重ねる方針だ。
太陽電池の電極を増産 無縁か製品も視野に
長年手掛けてきた太陽電池セルの電極についても、電子分野の独自技術を応用している。
70年代から電子部品用に銀粒子を含んだ銀ペースト(電極材料)を手掛けていたが、これを83年から太陽電池セル用に横展開してきた。この銀ペーストを太陽電池セルに搭載する際にも高度な技術がいる。電極には光が通らないため、その分セルの発電効率が落ちてしまう。そこで、線幅をなるべく細くしながら、かつセルと電極が剥がれないように接触度を高めなければならない。それには、材料の配合や加工方法にノウハウが必要となる。
村田製作所は結晶系の太陽電池セルを製造する国内メーカー向けに銀ペーストを出荷しており、圧倒的なシェアを持つ。
国内の太陽電池市場は停滞が続いたが、昨年の公的助成拡大の追い風により住宅用太陽光パネルの需要が急増。村田製作所の銀ペーストの生産量も現在は00年比で10倍に増え、着実に利益に貢献しているという。今後は、躍進中の欧州、中国、台湾メーカーなどへの海外営業を強化する。
また、銀ペーストでも無鉛の材料を使用する環境配慮型の「鉛フリー」タイプを開発中。鉛を抜くと集電効率が落ちるが、研究によりこの弱点を克服した。「商品化はおそらく世界初だろう」と、家木取締役は胸を張る。10年内の量産化を目指す。