日本の失業率「2.9%のはずはない」という根拠 休業者をカウントすれば数字はハネ上がるはず

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では、人件費はどうでしょうか? これは、前年同期比で7.3%の減となっています。

人員数でみると、前年同期比で234万人減(6.5%の減)です(図表1参照)。

(外部配信先では図表やグラフを全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

これは、かなり大きな削減率です。仮に、法人部門以外でも同じような人員削減が行われ、かつ削減された雇用者が失業したとすれば、失業率は6.5%ポイント程度上がるはずです。

なお、人件費は、売上原価と販売費および一般管理費の両方に入っています。ただし、公表されている数字では、その内訳はわかりません。

売上原価の減少率が高く、そしてこれは現場関係の費用であることからすると、減っている大部分は非正規雇用者であろうと想像されます。

労働力調査では、雇用者減は73万人でしかない

以上で見たように、法人企業統計が伝える雇用情勢は、深刻なものです。

ところが、1日に公表された労働力調査は、これとはかなり違う姿を伝えています。7月の完全失業率は2.9%だったのです。

決してよい数字ではありませんが、法人企業で人員が6.5%も減っていることから想像されるのとは、だいぶ違う状況です。

実際、労働力調査では、雇用者数はあまり減っていないのです。

2019年5月から2020年5月の間に、雇用者が73万人減(うち非正規が61万人減)でしかありません(図表2参照)。

上述した法人企業統計の234万人減とは大きな違いです。

しかも、労働力調査は個人事業なども含むため、対象が法人企業統計より広くなっています。

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