日本の失業率「2.9%のはずはない」という根拠

休業者をカウントすれば数字はハネ上がるはず

「失業率2.9%」という数字で安心している人が多いかもしれません。

とくに、アメリカの失業率が改善したとはいえいまだに2桁であるのと比較すると、日本の状況はかなり良好だと考えられるかもしれません。

しかし、日本の失業率がこのように低いのは、労働力調査が、休業者を「雇用されている」と捉えているからなのです。

そして、現状においてそれらの人々が雇用され続けているのは、雇用調整助成金が賃金を支払っているからです。

企業の立場から言えば、これらの人々は「賃金を払わなくてもよい人々」と捉えられているわけで、そうした人たちが多い現在の日本の状況は、決して安心できるものではありません。

休業者220万人を失業者とカウントするなら?

仮に7月における休業者220万人を失業者とカウントするなら、7月の失業者数は現実の失業者196万人に220万人を加えた416万人となり、失業率は6.2%となります。

これでもまだ、アメリカの半分以下の水準であることは事実です。しかし、レイオフを簡単に行えるアメリカの特殊性などを考慮に入れれば、両国間に大きな差はないとの見方も可能でしょう。

これまでは、統計による定義の違いで状況判断が大きく違うということは、ありませんでした。

休業者がきわめて多数になっている現在の日本では、それをどう捉えるかによって、経済の現状の捉え方が大きく異なるものとなるのです。

なお、すでに述べたように、今年4~6月期において、企業の人件費は対前年比で3.2兆円削減されています。

仮に企業がこれだけの人件費を削減できなかったとしたら、営業利益は現実値の5.8兆円ではなく2.6兆円となり、対前年同月比は、マイナス84.3%になっていたでしょう。つまり、法人企業全体として赤字すれすれのところまで行っていたわけです。人件費削減の効果がいかに大きいかがわかります。

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