トリプラのチャットボットについては1年半前から、予約システムは8カ月前から導入。同施設を営む、樹ホテルズジャパン代表取締役の前田洋氏は、小さな旅館でマンパワーも限られているため、ITなどを使った効率化を積極的に進めているという。
未来の宿泊チケットについても、トリプラからの説明会が行われてすぐに導入を決め、2日後にサービスを開始した。同社の予約システムをすでに導入していたため、スピーディーに進んだようだ。
コロナの影響により、利用客数は3月が半減、緊急事態の4、5月は約1割に落ち込んでおり、6月、7月も半減だった。
宿泊客が激減し困っているのは宿泊施設だけではない。取引先であるリネン類や食材、酒類の協力業者なども一緒に苦境に陥る。由布院のような温泉地では、街全体が冷え込んでしまうのだ。
未来に勇気をくれる取り組み
「助成金はあるが、それだけではとても足りません。未来の宿泊チケットは資金繰りの一助として始めました。450万円(7月末時点)分販売できており、これは非常に大きな数字です。またそれ以上に、見えない脅威がつねにある不安な中、みんな疲れている。こうした未来への勇気をくれるITシステムの開発は本当にありがたいと思っています」(前田氏)
未来の宿泊チケットは正規価格の3割引で販売しているが、実は同社にとってマイナスにはならないという。話題性があり、ホームページや媒体で取り上げてもらえるため、露出機会が増え、旅行代理店などの経費軽減につながったからだそうだ。
Go Toキャンペーンでは、本格実施後は実質旅行代金の50%が補助される(本格実施日は9月3日時点で未発表)。そのため客が混乱しないよう、30%割引の「未来の宿泊チケット」についてはAIチャットボットで対応し、さらに「おしらせ欄」や宿泊券購入ページに注釈を入れて販売をしている。
「旅行業界はまだまだ厳しい時期が続きます。ですからこの時代を乗り切っていくために、一定の利害関係や業種を超えてアライアンスを組むなど、同業・異業種問わず、アイデアや成功体験を共有できたらいいと思います。行政からは、そうした仕組みづくりのサポートを期待します」(前田氏)
このように、業界が生き残るためには、知恵をシェアすることが大事だという。今回さまざまなことをオープンに語ってくれたのも、そのためだそうだ。
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