困窮する宿泊施設を救う「未来の宿泊チケット」 正規の3割引で販売しても損しないカラクリ

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「未来の宿泊チケット」をご存じだろうか? 導入している「由布院別邸 樹」と「日光金谷ホテル」にその効果について聞いた。写真は日光金谷ホテル(写真:日光金谷ホテル)

経済回復を目的とした「Go Toトラベルキャンペーン」開始後1カ月以上が経つ。当初はチケット入手の仕組みが整わず、宿泊施設に問い合わせが殺到するなど混乱したが、事務手続き面での課題は解決されつつあるようだ。国土交通省では、7月27日から8月20日までの間の利用者数は延べ約420万人泊と発表している。

とはいえ心理的にも世間的にも、大手を振って旅行できるという雰囲気ではないのも確かだ。旅行業界は依然厳しい状況にある。

宿泊施設の救済策「未来の宿泊チケット」とは

さて、コロナ禍における旅行業界の支援策として5月12日から展開されているのが「未来の宿泊チケット」。旅行に行きたい人が前払いで未来の宿泊を購入できるというもので、目先の運営資金に困窮する宿泊施設の救済策となる。

同取り組みを運営するのは2015年設立のtripla(トリプラ)だ。独自開発の宿泊施設予約システムと、オンラインチャットによる問い合わせに自動で対応するAIチャットサービスを主な事業とする。

とくに特徴的なのがAIチャットの「チャットボット」。宿泊施設の公式ホームページに導入するもので、宿泊を検討しているホテルにどんなアメニティーがあるか、といった客からの質問にAIがチャットで答えてくれる。客にとっては何度でも気軽に問い合わせられるメリットがあり、宿泊施設にとっては問い合わせに対応するための人件費コストを抑えることができる。

面白いのが、AIなので、経験を積むことによって成長すること。つまり“賢くなる”わけだ。多言語対応であることや、バックアップとしてコールセンターが整備されていることもポイントとなって導入施設を伸ばしており、2020年7月末現在で国内外約700施設に導入されている。

しかし同社のサービスも旅行業界にもれなく、緊急事態宣言や旅行控えによる打撃を受けている。そこで、かねて取り組んでいたAIシステムの改良を完了させ、アパレルブランドのECサイトなど、宿泊施設以外にも展開を広げているところだ。

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