困窮する宿泊施設を救う「未来の宿泊チケット」

正規の3割引で販売しても損しないカラクリ

次に話を聞いたのは、日光金谷ホテル。歴史の長いクラシックホテルとしてよく知られ、首都圏からの客が約6割を占める。インバウンドは東京からの日帰り旅行が主流になってきたため、ここ数年は宿泊客が減少傾向にあり、現在は全体の8%にとどまる。繁忙期の平均価格は1泊2食2万6000円前後だが、さまざまなプラン展開によって幅広い客に対応している。

コロナの影響は、4月の稼働率が約1割、休業要請があけた6月から少しずつ回復し、7月は4割。7月については前年比15%マイナスといったところだそうだ。日光という街そのものが、宿泊とともにレストランやギフトショップで収益を得ている。そのため同施設でも、街中の店とタイアップしたプランなど、街中での消費につなげる取り組みを強化している。

プレゼント用途の購入などで予想以上の反響

未来の宿泊チケットは6月下旬からスタート。未来への展望が感じられたことが導入の決め手になったそうだ。

「コロナの真っただ中で打つ手がなかったときに話があった。どれぐらい売れるかわからないものの、導入してみたら、予想以上にお客様の心に響いたようでした」(日光金谷ホテル支配人の地神嘉之氏) 

系列の中禅寺金谷ホテルも合わせて、予想の2.5倍の売り上げがあったそうだ。プレゼント用途での購入も多いという。年末年始など一部対象外はあるが、なるべく多くの日で使ってもらえるよう配慮しているそうだ。

日光金谷ホテルの「未来の宿泊チケット」予約画面。販売期間は9月30日までで、2021年6月30日までであれば、対象日いつでもお得な価格で利用できる(筆者撮影)

気になるGo Toキャンペーンの効果も聞いてみた。

「8月は前年対比で6〜7割ぐらいです。もともと8月自体がトップシーズンなので、キャンペーンの効果かどうかはわかりません。東京は除外ですし。むしろ、栃木県が取り組んでいる“一家族一旅行”が7月は非常に威力を発揮しました。県内のお客様が、昨年の7〜8倍に増えています」(地神氏)

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実体経済の悪化を尻目に、国内外から熱い視線が注がれる日本の不動産。業界の雰囲気とは対照的に、上場不動産会社の株価は軒並み軟調です。コロナ後の新常態で誰が笑い、誰が泣くのでしょうか。現場の最新情報を基に不動産市場の先行きを展望します。

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