「最後は半同棲みたいなことをしていたけど、21歳になる目前、“こんな生活をしていたら、自分の人生は終わるな”と思ったんです。無駄使いする方じゃないんでバイトの金も溜まっていたから、その金でコンピューターグラフィックを学べるデザイン系の専門学校に通い出しました」
そして、専門学校を卒業後は、夫婦が営む小さなデザイン会社に就職をした。
「4つ上のキャバ嬢との同棲は解消していたものの、縁は切れていなくて、たまに会っていたんですね。22歳で就職したとき、彼女は26歳。『結婚して』と言われたけれど、6歳の子の父親になる自信が当時の僕にはなくて。このままズルズルと関係を続けていくのもいけないと思い、きっぱり別れることにしました」
そして、就職した会社で働きながら、ニコ動やユーチューブへの配信も始めた。自分のオリジナルのキャラクターを作って、売り出したいという夢があったからだ。しかし、30歳を目前して、夫婦が手掛けた大きな仕事が失敗をし、会社は負債を抱えて倒産してしまった。
「美人局」に遭い、闇金で300万円の借金
「無職になり、気持ちがくさくさして気晴らしにキャバクラに客として遊びに行きました。キャバクラで店側や働くキャバ嬢たちが客をどんなふうに見ているかは知っていたはずなんですが……」
1人のキャバ嬢にハマってしまった。
「“この子はほかの子とは違う。自分に本気なんだ”と思ってしまった。バカですよねぇ。店に通って、通って、自分ではうまくいっている気になっていた。でも、男女の関係になった途端に後ろから怖い男の人が出てきて、『よくも俺の女に手を出したな。300万円払え』とスゴまれた。美人局だったんです。そのまま闇金に腕をつかまれて連れて行かれて、300万円借りることを強要されました。その筋の人だったので、警察に行ったら仕返しも怖かったし、300万円をその場で借りました」
職も失い、借金も背負い、働かざるをえなくなった。そうした中で就職活動をしていたときに、たまたま試験を受けた大手通信会社に再就職が決まった。仕事が始まってみると、大手というだけあって働く環境も整っていたし、給料もよかった。
「美人局の一件以来、人を信用するのが怖くなって、友達や会社の人などの付き合いは極力しないようにしていました。飲み会に誘われても参加しなかった。生活に必要な最低限の金だけ使って残りは借金返済に当てていたので、すぐに完済できました」
仕事にまじめに取り組み、成果もあげることができた。それが評価されて、31歳のときに勤めていた支社から本社への栄転が決まった。
「それまでは会社が地元にあって電車に乗ることもなかったんです。ところが、本社は自宅から電車で1時間ちょっとかかる場所にあった。満員電車の通勤を始めて1カ月が過ぎた頃、体調がおかしくなったんです。人の匂いとか、体と体がくっつく圧迫感に息苦しくなって、2、3駅電車に乗ると降りてしまう。会社に行けなくなりました」
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