人間が地球上で生物界の頂点に君臨している訳

私たちの身体には6段階の進化が刻まれている

人類は地球という惑星を意のままにする不可譲の権利をもって支配するよう運命づけられていたのか(写真:Elnur/PIXTA)
私たちの周囲にいる何百万もの種のなかには、生存競争を生き抜いた、進化の産物が含まれている。それらの種を考察することによって、単細胞の細菌などの生物から、言語や共感や協力といった人類の高度な能力につながる進化の主要な6段階を明らかにすることができる。世界有数の生物学者、エドワード・O・ウィルソン氏による新著『ヒトの社会の起源は動物たちが知っている』から第2章「進化の六段階」を抜粋して掲載する。

人類は言語と抽象的に考える能力を授かった

地球の生物学的歴史は生命の自然発生と共に始まった。20億年ほどの歳月をかけて細胞が、続いて器官を備えた生物が生まれ、そして最後に、200万年から300万年という比較的短い期間で、それまでに何が起きたのかを自分の力で理解できる種が生まれた。人類は無限に拡張する言語と抽象的に考える能力を授かり、自分たちがどのようにして生まれたかを思い描くことができた。いわゆる「進化の大いなる遷移」は以下のように展開した。

1 生命の発生
2 複雑な(「真核」)細胞の登場
3 有性生殖の登場により、DNA交換と種の多様化の管理されたシステムが実現
4 多細胞生物の誕生
5 社会の発生
6 言語の発生

私たちの身体のなかには主要な6段階すべての痕跡がある。それらの痕跡は生命の歴史の各段階で生まれたものをとどめているのだ。

まず、微生物の発生の痕跡だ。代表的なものが、私たちの消化管をはじめ全身いたるところにうようよいる細菌の現生種で、その数はヒトのDNAを持つ細胞の10倍に達する。

次に、遺伝的な意味でヒトを構成する細胞を見てみたい。ヒト細胞の祖先は非常に早い時期に細菌細胞が融合することによって、そしてミトコンドリアやリボソームや核膜といった、現在の細胞の効率的な形成を可能にするための構成要素に変化することで複雑化していった。これらのヒト細胞は細菌のシンプルな「原核」細胞と区別するため「真核」細胞と呼ばれる。

次に人体に刻まれた歴史に登場するのは器官である。器官はクラゲや海綿など太古の海の生物によって真核細胞の塊から作られた。そして最後が人間で、言語、本能、社会的経験を複雑に融合して、組織された社会を形成するようにプログラムされている。

かくして私たち人間は現在、立ち、歩き、興奮すれば走る。38億年の進化系統の末に、でたらめにたどり着き、気まぐれな変異と自然選択をさらに進める以外にこれといった目的もなく、「爬虫類の時代」に設計された指針となるシステムに導かれた、直立し、二足歩行する、背骨があって塩水の詰まった袋が人間だ。

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