人間が地球上で生物界の頂点に君臨している訳 私たちの身体には6段階の進化が刻まれている

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体内の液体(体重の80パーセントを占める)のなかを巡っている化学物質と分子の多くは、原始の海のものとほぼ変わらない。相変わらず私たちの思考と文学は、進化の6段階を含めて、先史と有史のすべてが、人類を地球上に誕生させるのに何かしら役立ったという一般通念に突き動かされている。

38億年前に生命が誕生してからというもの、あらゆるものが私たち人類のために用意された、といわれてきた。アフリカで誕生したホモ・サピエンスが世界の居住可能な地域に広がっていったのには、どこか宿命めいたところがあった。人類は地球という惑星を意のままにする不可譲の権利をもって支配するよう運命づけられていたというわけだ。そのような勘違いこそ、まさしく人間のありようではないだろうか。

地球外生命体が見つかれば

そこで、進化の6段階についてもっとじっくり見てみよう。最初の、最もイメージしにくい段階は、生命そのものの発生だ。この出来事は非常に広範かつ精密に想像されてきたが、細かい部分についてはまだ不確実な点が数多く残っている。

地球上の最初の生物は、細菌と細菌に似た古細菌だというのが衆目の一致するところだが、原始の海に浮かぶ分子の、ほとんど無限にあるランダムな組み合わせのなかから、細菌と古細菌は自己組織化して複製システムを形成した。

この画期的な出来事がどこで起きたのかは不明だが、古細菌の場合は海底火山の熱水噴出孔だったという見方が現在では有力である。海底の裂け目は今も原始時代と同様、化学物質を豊富に含む水を熱して攪拌している。噴き出る泡の広がりの中央部分から外に向かって大きな物理的および化学的勾配が生じ、ランダムな分子操作の天然の実験室になっている。

すべてはどうやって始まったのか。生物学者たちが研究室で化合物を合成して現実の世界に存在するものに匹敵する生物をつくり出せば、どこで、どのように生命が発生したのか、格段に理解できるようになるだろう。遠く離れた惑星系や地球に近い惑星系など、地球以外の惑星で生命が見つかれば、はるかに多くのことがわかるだろう。最も可能性が高いのは、火星の深さ1キロの帯水層など、私たちの太陽系のどこかだ。

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