人間が地球上で生物界の頂点に君臨している訳

私たちの身体には6段階の進化が刻まれている

あるいは、血縁関係や個体同士の取引とは関係なく、「間接互恵性」が引き金となって協力が生じる可能性もある。間接互恵性とは、個体が自身の利益を増やすためだけに集団に加わることによって得る強みだ。1羽のムクドリを群れから離せば、群れにいたときとほぼ同じやり方でエサを探すだろう。

しかし1羽で十分なエサを見つけるのは集団でエサを見つけるよりはるかに大変で、家族を養っている場合はなおさらそうだ。単独でエサを探しているときには捕食者に襲われるリスクが高くなる。一方、集団なら、少なくとも1羽が豊かなエサ場を知っていれば、そこへまっしぐらに飛んでいける可能性が非常に高くなり、捕食者が近づいてくるのを見つけて仲間に警告できる可能性も高まる。

言語を生み出したヒト

ヒトという種(ホモ・サピエンス)は、地質学スケールでは比較的短い期間で言語を生み出し、第6段階の進化をもたらした。ここで言っているのは真の言語であって、表情や仕草や身振り、うめき声、ため息、しかめっ面、笑顔、笑い声といった、ほとんどの人間に共通するパラ言語ではない。またオウムやカラスのおしゃべり、鳴禽の心地よいさえずり、あるいは哺乳類の遠吠えやうなり声や甲高い鳴き声なども、いかに多様で調子が変わろうと、ヒトが獲得した言語とはやはり違う。

『ヒトの社会の起源は動物たちが知っている』(NHK出版)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

人間が得意とする音声によるコミュニケーションは動物にも可能だが、動物は本当の意味で話ができるわけではない。真の言語はヒトだけが使うもので、言語は単語とシンボル(文字や記号)によって構成される。単語とシンボルは考案され、任意の意味を割り振られたのち、組み合わされて際限なく多様なメッセージを生み出す(言語が持つ無限の生産性を疑うなら、無限に続く素数の1つを選んで、そこから数という言語で数えてみるといい)。メッセージはさまざまな物語を生む。想像したもの、現実のもの、過去、現在、未来とあらゆる時代のものがある。

発話に読み書きが加わり、人間の思考はどれもグローバルになる可能性が生じた。人間は周囲のすべての生命について、それぞれの種、おかげで、私たちはバイオスフィア(生物圏)の管理人にして頭脳となったのだ。私たちは倫理的知性を駆使して、この役割をまっとうすることができるだろうか。

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