Appleと対立しても「フォートナイト」余裕な訳 この争いは「YouTuberの事務所脱退」と似ている

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フォートナイトはGoogleとの間にも問題を抱えている。Android版フォートナイトは当初、Google Playでは公開されなかった。やはり、サービス手数料が30%と高いことが主な理由だ。

フォートナイトはほかのプラットフォームで既に人気を獲得していたため、Google Playを経由せず自社の「Epic Gamesストア」で配信した。

App StoreやGoogle Playがデベロッパー側とストア側の収益配分率が70:30なのに対して、Epic Gamesストアは88:12とストア側の取り分はかなり少ない。

フォートナイトがGoogle Playで公開されたのは、今年の4月のこと。つまり、同アプリがGoogle Playで配信された期間はわずか4ヵ月ほどにすぎなかった。

Appleを「足かせに思う」企業が増えてきた

Androidアプリは、そもそもGoogle Playを経由せずにダウンロードできる。iOSアプリはApp Storeからしかダウンロードできないが、代わりにストアを経由せずに課金するサービスが増えている。App StoreやGoogle Playの「手数料30%は高い」という声は多いのだ。

2019年にはSpotifyが、Appleが自社の音楽配信サービス「Apple Music」と競合するアプリに不利になるようなガイドライン変更をし、30%という手数料により、健全な競争を阻害しているとして欧州委員会に訴えている。Apple Musicと競合のSpotifyは月額料金は同じだが、当然手数料を払う必要のないApple Musicは有利な位置にいる。

メールアプリ「HEY Email」は、年額99ドルのサブスクリプション制。今年6月、同アプリは30%の手数料支払いを避けるため、料金をアプリではなくWebサイト経由で支払うように変更した。これに対してAppleは、「料金をアプリ内決済に変更しなければ規約違反でブロックする」と警告。欧州委員会は2020年、Appleが競争原則に違反しているかどうか調べる独占禁止法調査を行っている。

App StoreやGoogle Playを使うことで、デベロッパーは世界中に対して一斉にアプリを配信できるようになった。これは、たとえ30%の手数料を支払っても大きなメリットだった。しかし、フォートナイトのようにストアに頼らなくても知名度が高く集客力があるアプリが登場してきた。力のあるアプリを持つデベロッパーにとって、この仕組みは足かせにしかならない。

今回の件でEpic Gamesは、ストアからのフォートナイト削除を覚悟しているように見えた。「1984」動画を用意したうえで、即日提訴に持ち込んだからだ。Epic Gamesはアプリの削除と、それによって世論を味方につけることを望んだのだろう。

しかも、「AppleまたはGoogleが将来支払いにかかる手数料を引き下げた場合、Epicはその引き下げ分をお客様に還元します」と言っており、手数料が下がった分は還元すると明言していることも、世間の支持を集める理由となっている。

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