どん底の「観光業」が復活するための3つのカギ 来日できない外国人向けの宣伝も強化が必要

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帝国データバンクによると、2020年1月時点で中国に進出している日本企業数(全産業)は2019年よりも減少する一方、サービス業は前年より8.5%増加している。それは、中国で「お金を使うことで現地でも日本旅行の感覚を味わう」ことが求められるようになり、身近な日本を感じたいニーズが高まっていることが一因にある。ちなみに不動産業も10.5%増加したが、それも中国の若者の生活様式、好みが日本寄りになってきたからだと考えられる。

「モノ消費を通じたコト体験」のよい事例を紹介しよう。日本では知らない人がいないぐらい有名な日本酒銘柄「真澄」を有する長野県の宮坂醸造は、深圳で社内ベンチャーに近い形で真澄国際酒業(深圳)(Cella Masumi Shenzhen Limited)を設立した。

オンライン飲み会もフル活用

真澄国際酒業では、あまり知られていない日本酒の銘柄を輸入し、現地での展開に注力している。責任者である樊汝聡(ハンルソウ)氏に話を聞くと、日本酒を展開する際、単に売るだけでなく、「日本食のシーン」を提供することも重視しているそうだ。

中国でのイベントの様子(写真:筆者提供)

真澄国際酒業では、日本酒の紹介イベントに参加したほか、深圳市にある日本料理店とのコラボにも積極的に注力しようとしている。季節、料理、会食の目的に合わせ、適切な日本酒を提案することにより、「食文化」「酒文化」そして「日本文化」を体験してもらい、日本酒の認知度向上、売上貢献につながることを目指している。

レストランやバーのオンライン飲み会もじわじわと増えている。例えば現地法人または協力会社の力を借り、名産品などを事前に送ってもらって、オンライン飲み会の際に、名産品といった「モノ」を通し、自社製品や観光魅力を説明することで、外国人に「コト」の体験を提供することも可能であろう。

中国国内の移動も徐々に自由になり、人々の外出も正常になりつつある。現地の店や行政関係のイベントなどを通して、オンラインとオフラインを融合した「シーン」のPRも検討する価値がありそうだ。

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