新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)で最もダメージを受けた産業は、観光業だろう。一本調子の訪日外国人増加や各地でのホテル増設など昨年来の好景気の報道が、あっという間にゼロに近い数字と相次ぐ倒産のニュースに変わってしまった。この6年以上インバウンド関係をずっと見てきた筆者も悲しい限りだ。
しかし、この暗い闇の先にはかならず光はある。有効なワクチンや治療薬の開発により、人・モノの移動が徐々に回復することは間違いないだろう。三菱総合研究所の「コロナ調査ノート」によると、日本国内でコロナ後に一番したいことは「旅行」であった。また、世界的にパブリックヘルス(公衆衛生)への関心も高まり、新型コロナに対応した形でのグローバルな連携や活動も増えていくと見られている。今回は、新型コロナ後のインバウンド復興のため、今から行うべき3つのポイントを述べていきたい。
プロモーション費の削減は正しいのか
マッキンゼー・アンド・カンパニーは2008年の世界金融危機を乗り越えて成長を遂げた企業を「レジリエント企業」と称し、これらの企業では負債や売上原価を中心とした徹底的なコスト削減に取り組んできたことを指摘している。
加えて、同社のシニアパートナーである小松原正浩氏は、危機後の成長が比較的速いレジリエント企業のもう1つの特徴も指摘している。それによると、これらの企業はプロモーション費用など本業を「売る」ためのコストをあまり削減していなかったということだ。
日本企業の場合、本業へのプロモーションは無駄遣いと思いがちで、景気が落ち込むと真っ先にカットしてしまう。その結果、最も重要な「売ること」への布石がなくなり、経済が回復した後の販売拡大に困ることになる。
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