最後のポイントは、健康的な人が移動する権利を守る仕組みの検討が急務であることだ。SNSでは、日本政府の新型コロナ対応について疑問を示す投稿が少なくない。日本国民はマスク着用率や清潔への意識が高いが、無症状者がいるという不安はぬぐえない。
以前の記事でも紹介したことがあるが、中国には「健康QRコード」があり、中国の経済活動再開に大きく貢献しているようだ。自分の健康状況を毎日記入すると、位置情報による感染者接触状況が分析される。緑のQRコードの場合は、感染リスクが低いと判定される。
また中国では公共交通機関の利用時や、レストランに入る前、出社する際には、このコードの提示が必須で、感染予防上安心できる人々だけが移動し、活動できるような仕組みになっている。韓国でも似たような取り組みが行われ、スマホ上に感染者が行った場所の情報が届けられている。また、アメリカでも、MITの研究チームがプライバシーを守るブルートゥース経由の追跡システムを研究しているようだ。
中国では健康QRコードが普及する
日本にも「COCOA(ココア)」アプリがあるが、残念ながら、いまのところ利用人数が少ないのでそこまで機能していない。また、こうしたアプリに対し、個人情報やプライバシーに関する課題も日本でよく指摘されている。有効なワクチンが出るまでは、経済の停滞防止と罹患(りかん)していない大勢の人々を守るツールとして、安心して経済活動を行えるように再検討する必要もあるだろう。
中国の場合、感染が収束したわけではないが、健康QRコードが全国で普及したこともあり、観光業界も徐々に回復しつつある。新華ネットの情報によると、中国のGW(5月1~4日)期間中、中国国内の旅行者数は1億人を超え、432.3億元(6614億円)の観光収入があったようだ。この数字は、2019年の半分以下だが、観光業界が徐々に回復していることがわかる。
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