どん底の「観光業」が復活するための3つのカギ 来日できない外国人向けの宣伝も強化が必要

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マッキンゼーの分析は、観光業界にとっても見習う価値がある。日中両国の観光業界に詳しいRainbow Arcの湯怡婧(Hiromi Tang)氏は、「危機に遭って、すぐに発信をストップする自治体と日本企業があるが、もったいない。今こそ情報発信(プロモーション)をすべきだ」と言う。

海外旅行に行けないため、オンラインで観光地を楽しむ、いわゆる「クラウド旅行」のトレンドがしばらく続くことになりそうだが、その時期にこそ印象付けしておくことが重要だ。日本の風景、料理、百貨店の展示などの観光資源は「映え」がよいため、実はオンライン発信に向いている。

今、日本各地では、国内観光客に向けにクラウドバス旅行、クラウド座禅など、いろいろと試行錯誤しながらオンラインでの発信をしているが、訪日できない外国人観光客向けにも、もっと発信すべきだろう。

海外の現地法人も積極的に活用する

また日本にいる外国人の協力をもらいながら、(比較的に安価なコストで)今までできなかった地元視点の発信、日常生活のアピール、またはインタラクティブな交流を通じて、観光客のニーズを把握することも必要である。

こうした「売る」までの下準備をしておくと、共感づくりやファンの育成もできるうえ、越境ECや、コロナ後にインバウンドが再開した際に、外国人消費者のリベンジ消費にもつながると考えられる。

情報発信の一方で、彼らと接触できる「タッチポイント」を活用することも非常に重要だ。その有効なタッチポイントとは、海外にある日本企業の現地法人や提携企業である。

中国を例にすると、「日本旅行」への期待は、メディアでもよく取り上げるように、4、5年前からモノからコト(体験)へ移行した。コンサート、食事、花火大会、昭和喫茶や古本屋巡り、など中国人のニーズもさまざまだ。

新型コロナが流行するまで堅調に続いていた爆買いと、コト重視は矛盾するようにも見える。だが、実は両者は相互補完的であり、今や「モノ消費を通じたコト体験」を重視するステージに入っている。

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