COVID-19 Community Mobility Reportsに示されている各種の移動データの変化を説明するモデルとして、「感染者数」(前日に確認された新規感染者数)および「緊急事態宣言ダミー」(4月16日~5月24日を「1」、それ以外を「0」としたダミー変数)と、祝日と土日をそれぞれ「1」、平日を「0」としたダミー変数を説明変数とする重回帰モデルを作成した。なお、「感染者数」は人々の行動の変化を捉えるために「第1波」と「第2波」を分けた。
影響は「第1波」のときの6分の1に縮小
分析結果について、「レストラン、ショッピングセンター等」を例に説明しよう。
決定係数は0.755と高く、「利用率」は今回用いた説明変数でおおむね説明可能であることがわかった。各説明変数の回帰係数によると、緊急事態宣言が発出されている期間の「利用率」はベースラインから19.2%減になる。これは、緊急事態宣言の有無によって人々の動きが20%近く変化するということであり、影響が非常に大きいことがわかる。
また、前日の「感染者数」が1人増えると、「第1波」では「利用率」がベースラインから0.027%減となったが(100人で2.7%減)、「第2波」では0.002%減(100人で0.2%減)となった。つまり、「第2波」に対する人々の反応の大きさは第1波のときの10分の1以下に低下していることがわかる。また、「第2波」の影響は5%水準では統計的に有意とは言えない(影響がないことを否定できない)結果となっており、総じて「第2波」の影響は小さくなっていると言える。
他にも「地下鉄、バス、駅等」や「職場、オフィス等」「居住地」に対する影響についても「第2波」のほうが総じて「第1波」よりも影響(回帰係数)が小さい。「レストラン、ショッピングセンター等」も含めて回帰係数の大きさを比較(第2波の係数÷第1波の係数)すると、「第2波」の影響は「第1波」の9~31%程度であり、平均では6分の1程度になっていることがわかった。
むろん、「第2波」の新規感染者のピーク(8月7日1595人)は「第1波」(4月16日596人)の約2.7倍となっており、感染者数増加の影響を無視することはできない。しかし、今回の分析結果を考慮すると、それが人々の行動や個人消費に与える影響はそれほど大きくなくなってきていると言える。
今後は相対的に、①緊急事態宣言解除後のペントアップデマンドの剥落 、②現金給付10万円の影響(7~8月がピークとみられる)、③夏に続いての冬のボーナス減少などが個人消費のテーマとなるだろう。
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