コロナ後を考えるベンチャーに欠けている視点 シリコンバレー型だけが通用する訳ではない
日本は、国内市場の縮小というリスクを抱えているため、スタートアップもグローバルな展開を視野に入れる必要があるだろう。資金と資源の分散の方法は、特定分野に集中し圧倒的地位を築き、その後で世界進出をする、シリコンバレーモデルと真逆になるが、ラクダ型スタートアップはポートフォリオのバランスが調整しやすく、破綻もしにくくなる。
2つ目は、グローバル人材の確保である。Lazarow氏は自身の書籍の中で、「クロスポリネーター(cross-pollinators、異花受粉したような国際的で多様な経験を持つ人々)」がスタートアップの原動力だと強調している。
クロスポリネーターの起業家は、さまざまな経験・人脈を通じて新しいビジネスを創り出すことができる。とくに、新興国で起業したい場合は、現地の有力者からの(資金・制度)支援が不可欠であり、さまざまな人脈を持つクロスポリネーターのほうが有利と言える。またクロスポリネーターがいることで、企業のメンター(助言者)が見つけやすくなる。
では、日本はどうすればいいのか。筆者の独自インタビューでは、Lazarow氏は、「ほかのところでもそうだが、世界にはすでに480以上のスタートアップハブがある以上、シリコンバレーだけを目指さなくてもいい。日本は日本らしいイノベーション振興をすべきだし、ラクダ型スタートアップの成長に十分に可能性がある」と主張する。
日本の優良中小企業とも類似点がある
日米のイノベーションに詳しい、エンジェル投資家のDr.Takashi Kiyoizumi(清泉貴志)氏も、「(ラクダ型スタートアップは)長期発展を重視し、得意分野で深掘りし新しいビジネスを作るところは、日本の優良中小企業と類似する」と話す。グローバルな視点を加え、細部まで追求し、堅実なスタートアップの資本政策を熟慮し、行政・大企業・大学の非希薄性の資金サポートをもらいながら、新しい市場を作り出す「ラクダ型スタートアップ」は、中小企業育成の長い経験をもつ日本でこその有力モデルになるかもしれない。
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