コロナ後を考えるベンチャーに欠けている視点 シリコンバレー型だけが通用する訳ではない
「イノベーション」「スタートアップ」と聞くと、アメリカ・カリフォルニア州の「シリコンバレー」を思い浮かべる人が多いだろう。スタートアップの成功指標は、「ユニコーン(創業して10年以内、未上場企業で評価額10億ドル(日本円で1067億円)以上)」とされている。
日本でも、「日本のシリコンバレーを作りたい」、「ユニコーンを目指す」といった論調が多く見受けられるが、シリコンバレーのようなリソース(成熟した人材・資金・テック資源の充足、桁違いの投資金額など)がある企業は意外と少ない。また、リソースがあったとしてもスタートアップの成功率は極めて低く、いきなりユニコーンになろうとするのは至難の業だ。
コロナがスタートアップの環境を悪化
さらには新型コロナウイルス感染症の影響で、経済活動の回復に時間がかかり、日本のスタートアップの資金調達や成長環境を一気に悪化させてしまった。コロナ後の「ニューノーマル(新常態)」に向けて、日本のスタートアップは、イノベーションを促進するために、シリコンバレーモデル以外でも、もっと現実的なモデルを探す必要があるだろう。
その答えの1つは、「ラクダ型」のスタートアップにあるかもしれない。今年4月に、ベンチャー投資家で世界のイノベーションエコシステムに詳しいAlexandre Lazarow氏が、『Out-Innovate: How Global Entrepreneurs--from Delhi to Detroit--Are Rewriting the Rules of Silicon Valley』(イノベーションを超えて:世界各地の起業家たち――デリーからデトロイトまで――はシリコンバレーのルールを書き換える(筆者試訳))を出版した。
Lazarow氏は全世界250社以上への調査を行い、今後のイノベーションは、ユニコーンではなく、「ラクダ型」のほうから生まれてくると主張している。Lazarow氏への独自インタビューも織り交ぜながら、日本のスタートアップ企業のイノベーションのヒントを考えていきたい。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら