コロナ後を考えるベンチャーに欠けている視点

シリコンバレー型だけが通用する訳ではない

うまく投資家を呼び込めれば、エグジットできるが、ほとんどのスタートアップは赤字が原因で消えてしまうのだ。一方でGrubhub(グラブハブ)のようなラクダ型スタートアップは、創業して数年間の間、できるだけVCの資金を入れず、自力で利益を出すことを目指す。そのため、無理な事業拡大はしない。そして、健康的な財務体質で次のステップに進み、必要な額だけ資金調達する。ラクダのように辛抱と吸収のバランスをうまく取る「好循環」だといえる。

ちなみに新型コロナウイルスの影響でデリバリー市場が急成長したこともあり、上場したGrubhub(グラブハブ)の現在の時価総額は65億ドル(6935億円)近くになっている。

VC以外でも資金調達を模索する

資金調達について、VCの短期的な利益重視を避けるため、現在世界各地のラクダ型スタートアップは、早期のVCを断り、ほかの方法で試行錯誤している。

主な手段は、

① 「エバーグリーンファンド」:リターンを投資プールに戻し、投資金額がどんどん拡大していくファンド。多くのCVCはエバーグリーンファンドであり、投資リターン以上に事業面のシナジーを重要視する場合がある。
② 「クラウドファンディング」:インターネットで自分のアイデアに賛同してくれる人からお金を集め、事業を進める(中国でも盛んである)
③ 「売上シェア」:「出世払い」型で、起業家は100%の株を保有しながら、売上の一部を投資家に分配する型。こちらは最近注目され、トロントに本社があるCLEARBANC(クリアバンク)は有名なファンドである。

となっている。むろん、政府からの補助金や大学・企業からのサポートも重宝されるし、VCも一律で拒絶ということではない。

ラクダ型スタートアップにはさらにもう2つの特徴がある。1つは、効率とリスク分散のため、会社も市場も世界のあちこちに分散することだ。例えばフロンティア・カー・グループ(FCG)が1例として挙げられる。

FCGは、新興国で中古車取引を行う会社で、リスク分散のため5カ国で支店を作った。通貨危機が発生しうまく行かなかった国もあったものの、うまく行った国もあった。そこで、うまく行かなかったところを全体を傷つけないうちに縮小し、資源の分配を調整した。結果、最も優秀なメキシコ支店を通して、ほかの4つのラテンアメリカ国にも進出できている。

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