日大ラグビー暴行の「釈明」に疑問だらけの訳 部長コメントは保身最優先、大学はだんまりか

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悪事と保身がまた繰り返されています(写真:Yoshi-da / PIXTA)

このニュースを知ったほとんどの人が「またか」と思ったのではないでしょうか。

日本大学ラグビー部の元ヘッドコーチによる暴力行為が発覚。しかも、その内容が耳を疑うようなものばかりだったのです。部員らがまとめた報告書や証言をもとに報じられているものを下記に挙げていくと……

昨年4~5月、元ヘッドコーチは未成年部員に寮内で頻繁に飲酒を強要し、度数の高い酒をストレートで一気飲みさせた。さらに、この事実が知れ渡ると、飲ませた部員らにLINEで「チクったやつ殺してー」「俺は怒ったら家族ごとやるから」「友達のヤクザに犯人探しさせようかな」などのメッセージを送った。
昨年8月、長野県・菅平高原で行われた合宿で、酒に酔った状態で、部員の耳や肩に噛みついたり、顔を蹴ったりした。また、別の部員にはバーベキューのときに熱いヘラを左上腕に押しつけて火傷を負わせた。
昨年11月、複数の部員たちと焼肉店へ行き、ある部員の頭につまようじを7本刺し、寮に帰るまで抜くことを許さなかった。部員は「ふだんの行動から、やらなければ終わらないと感じ、痛かったが耐えた」という。
寮内で部員の尻を布団たたきで殴っていた。

「アメフト部悪質タックル」も記憶に新しいのに

まさに傷害罪、強要罪、脅迫罪、さらには未成年者飲酒禁止法違反に該当する悪事でした。日大ラグビー部は1928年創部で、2度の学生王者に輝いたこともある名門。また、一昨年5月の「アメフト部悪質タックル騒動」も記憶に新しく、日大は「学生ファースト」の競技部改革を提唱したばかりだけに問題の根深さを感じさせます。

言語道断の悪事を繰り返した元ヘッドコーチに非があるのは当然ですが、これは学生の部活動に限らず、多くの人々が集う組織では想定しておかなければいけないリスクに過ぎません。重要なのは、それを未然に防ぐ日常的なガバナンスと、問題発生時の速やかなアクションであり、この点で日大とラグビー部の対応には疑問を抱かざるを得ないものばかりだったのです。

現在、日大ラグビー部の公式サイトには、部長の名前で次の文章(全文)が掲載され、他のページが見られないようになっていますが、疑問を抱かざるを得ない理由がここに凝縮されていました。

次ページ真っ先に掲げたのは「大学を守る言葉」
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