日大ラグビー暴行の「釈明」に疑問だらけの訳 部長コメントは保身最優先、大学はだんまりか

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そもそもこのコメントも問題が明るみになってから釈明のために出されたものであり、これほどの悪事があったのなら自主的に出すのが望ましいものでした。このような後出しの姿勢では、「2年前の悪質タックル騒動や今年1月の部員逮捕の反省が生かされている」とは言えないでしょう。

日大は今すぐにでもコメントを

ホームページ上のコメント以外にも、首をかしげたくなるような事態が報道によっていくつか明らかになりました。

その中には、「『事を荒立てこれだけの問題が起こって辞めたとなったとき、(ヘッドコーチの)彼の将来がどうなってしまうのか』というのもあり、そういう判断をした(自己都合による辞任を受け入れる)」という部長のコメントもありました。「被害者より加害者を守る」という理屈にはどう見ても無理があり、このコメントも元ヘッドコーチの起用責任や監督不行き届きの責任を問われることへの保身ではないでしょうか。

実際、元ヘッドコーチは数々の悪事が事実と認定されながらも解任はされず、「父親の介護を理由にした自己都合による辞任」を受け入れ、3月中旬に辞めてしまいました。そんな姿勢を見ていた部員たちが、「隠蔽された」と思ってしまうのは当然でしょう。

しかし、彼らは1月の不祥事で活動停止中の苦しい立場。「今回の問題がまた大きくなったら、部はどうなってしまうのだろう……」という不安を抱えていたことは想像に難くありません。同部は5月の連休明けから活動再開していましたが、今回の問題を自ら公表せず、メディアに報じられてしまったことで、部員たちはますますプレーに集中しづらい状況に陥ってしまいました。

そしてもう1つ触れなければいけないのは、大学側の対応。ここまで私が知る限り、ここまで大学側からのコメントはありませんが、これでは「『あくまでラグビー部の問題』とみなした責任逃れ」と思われても仕方がないでしょう。今後も無言を貫くのか? それとも、メディアに報じられたことで何らかのアクションを起こすのか? できれば少しでも早いアクションで大学へのダメージを最小限に留めておきたいところです。

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